第108話 ページ5
｢ここにおられましたか、Aどの｣
そう言って近づいて来たのはルインどのだった
｢すみません、わかりにくかったですね｣
慌てて椅子から立ち上がる
｢いえ、少し疲れましたか？｣
｢沢山の人に話しかけられまして……少し｣
｢Aどのはイザナ殿下の付き人として有名な方ですからね。
皆さん話してみたいのでしょう｣
｢……そう、なのですか？｣
｢おや、ご存知なかったですか？｣
私は俯き加減で言葉を続けた
｢お恥ずかしいのですが……あまり人からの評価を気にしたことがなくて。
というか、怖くて、あまり聞かないようにしてたんです｣
｢そうだったのですか。
でも、Aどののそういう所、良いと思いますよ。
人に影響されない、自分の芯を持った姿｣
｢ありがとう、ございます｣
一瞬、ルインどのの顔に影が落ちた気がした
さっきのオビの事もあってか、少し気になってしまった
｢何か飲まれますか｣
ルインどのは傍を通り掛かった給仕を呼び止めながら言った
｢では、いただきます｣
給仕は恭しく一礼してから私とオビにお酒の入ったグラスを手渡してくれた
一口飲むと、そこまで強くなく、飲みやすいお酒だった
｢夜会の終盤にはダンスパーティーが開かれますので、参加してみて下さいね｣
｢はい。ダンスなんて、暫く踊ってなかったので、楽しみです｣
私が言うと、ルインどのは嬉しそうに微笑んだ
10分と少しぐらい話した後、ルインどのは他の招待客の所にも顔を出して来る、といって会場中央へと戻っていった
｢A嬢｣
｢うん、なんか、視線を感じる……｣
ルインどのが来た時ぐらいから、チラチラと感じる視線
｢でも、人が多いな。はっきりとは分からない｣
そう言うと、オビは椅子から立ち上がった
そして、私に手を差し出す
｢ちょっと動いてみようか｣
｢え……？｣
｢ほらほら、大丈夫。
それに、人が多い所に行ったら撒けるかも｣
オビの声は私を安心させるためなのか、何時もと同じかそれよりも穏やかな声だった
でも、その瞳には鋭い光が入っているのを、私は感じた
｢ちょ、ちょっと待って、オビ｣
会場中央へ行くと人が沢山居て、オビと繋いだ手が離れそうになった
慌ててオビを呼ぶと
｢ごめんごめん、こっち来れる？｣
と、こちらを向いて優しく手を引いてくれた
その勢いでオビの腕の中におさまった私は緊張と驚きで身動きが取れなかった
だから、この時の変化に私は気づいてもいなかったのだった
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ななき(プロフ) - 続きが気になり死にそうです！よろしくお願いします！まじで大好きです！ (2022年7月8日 17時) (
レス) @page21 id: ea7be47ac2 (このIDを非表示/違反報告)
ぺこぱ(プロフ) - じっくりと読ませていただきました。これからの展開がとても気になります！！お忙しいとは思いますが、更新お待ちしています！！ (2020年9月16日 5時) (レス) id: 7095aaaef1 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - あざかさん» ありがとうございます。長い間の更新停止、すみませんでした。続きも楽しんでいただけるよう、精一杯書かせていただきます！ (2018年8月29日 22時) (レス) id: cda1da55b6 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - ヒロネコさん» 更新が遅くなり、本当に申し訳ないです。今日からまた、ゆっくりと再会していきますので、お楽しみいただければ幸いです。 (2018年8月29日 22時) (レス) id: cda1da55b6 (このIDを非表示/違反報告)
あざか(プロフ) - すごく面白いです！！！続き、楽しみに待ってます！頑張ってください！！ (2018年5月6日 3時) (レス) id: b72f39f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くるみ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年8月21日 18時
