第114話 ページ11
｢執着してた……ですか。
……ん？待ってください。A様。数日前、とおっしゃいました……よね？｣
｢え？あ、はい。｣
｢数日前……おかしいですね｣
｢何が、でしょうか｣
｢いや、葉月が山で賊に襲われて、亡くなったとき。……九年ほど、前でしょうか。
その頃に、葉月を狙っていた者たちの間では、葉月が殺された、という噂が流れ、
葉月を狙う……“大地の魔女”を標的とした、魔女狩りはぴたりと止んだ。｣
｢でも、A嬢の存在を知ってたら、今度はA嬢を標的にまた始まる……
はずじゃ、なかったのかい？｣
オビの問いに、クロードさんは少し間を開けてから言葉を繋ぐ
｢賊の中で、A様の存在を知るものは居なかった……はずです。
少なくとも、葉月の事で私が罪を感じ、誤解を解いて回っていた頃には｣
｢誤解を解いて回っていた？｣
私の質問にクロードさんは苦笑して答えた
｢自分でも、馬鹿なことをしている、というのはわかっていました。
でも、自分で撒いてしまった種。葉月にもう怖い思いをさせたくは、なかったんです。
少しでも早く、葉月を森に……安全な暮らしにしてやりたかった｣
｢クロードさん……｣
｢……じゃあ、クロードさん。あんたはなんでA嬢の存在を知ったんだ？｣
クロードさんは、深く息を吐いた
｢私は森を裏切った。その事実からもう森へは帰れないと思い、葉月の誤解を
解いて回りながら、葉月を捜していました。謝らなければ、と。
その時、偶然見つけたのです。山の麓のパン屋で……A様と、その弟様を｣
｢え……｣
｢声は、かけられませんでした。ただ、目の前の事実が信じられなくて。
ですが、葉月の子だと……その確信はありました。
A様のお顔は、幼い頃の葉月にそっくりでしたから｣
｢そう、だったのですね｣
｢……それから、私は葉月の亡くなった噂を聞き、再びあの山へと向かいました。
その時にパン屋の店主さんに聞いて、本当に葉月は亡くなったのだと……
A様がイザナ殿下に引き取られた事も、聞いていました。
……王城なら、もう狙われる事はないだろうと思い、私もこのメイザス家に正式に
仕える身となりました｣
クロードさんを見つめるオビが口を開く
｢だから、A嬢に執着するほど、A嬢を知る人が居るのはおかしい。
……って事かい？｣
｢……はい｣
自分がどんな存在で、どう在るべきか、この時の私は、もう分からなくなっていた
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ななき(プロフ) - 続きが気になり死にそうです！よろしくお願いします！まじで大好きです！ (2022年7月8日 17時) (
レス) @page21 id: ea7be47ac2 (このIDを非表示/違反報告)
ぺこぱ(プロフ) - じっくりと読ませていただきました。これからの展開がとても気になります！！お忙しいとは思いますが、更新お待ちしています！！ (2020年9月16日 5時) (レス) id: 7095aaaef1 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - あざかさん» ありがとうございます。長い間の更新停止、すみませんでした。続きも楽しんでいただけるよう、精一杯書かせていただきます！ (2018年8月29日 22時) (レス) id: cda1da55b6 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - ヒロネコさん» 更新が遅くなり、本当に申し訳ないです。今日からまた、ゆっくりと再会していきますので、お楽しみいただければ幸いです。 (2018年8月29日 22時) (レス) id: cda1da55b6 (このIDを非表示/違反報告)
あざか(プロフ) - すごく面白いです！！！続き、楽しみに待ってます！頑張ってください！！ (2018年5月6日 3時) (レス) id: b72f39f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くるみ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年8月21日 18時
