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◆ウェブリンという国 2 ページ4

そう、十年前までは。





きっかけは一つの謀反事件だった。





ウェブリンに仕える狼種の近衛騎士が、一人のウェブリンの王族に剣を向けた。





これまで平和に共存していると思われていた種族間に、ヒビが入った。





たまたま犯罪者が狼種であった、というだけで終わるはずだったその事件は―――…。





狼種にとっての災厄の歴史の始まりとなった。





きっかけは時を同じくして、ウェブリンを襲った凶悪な死病―――ゾディバ。





発病したものの肌は黒く斑点に染まり、脳みそを食い荒らされ、狂い死ぬと言われる原因不明の疫病。





いつしか、その疫病の発生源は狼種だという噂が流れるようになったのだ。





謀反に失敗した狼種が、ウェブリンを呪い、その呪いが死病となってウェブリンを襲っているのだと。





その噂は病への恐怖とともにウェブリンを蝕み―――…、誰が始めたかもわからぬ噂話はやがて真実となった。





人々は狼種を恐れ、忌避するようになり……。狼種は人を襲うようになった。





ゾディバは、狼種への恐怖と嫌悪をこめて通称―――…「狂狼病」と呼ばれ始めた。





そして。





時の王ガバルディ六世は、ついにとある決断を下す。





―――…【狼狩りの令(ジェノサイドウルフ)】。





ゾディバの原因となり、さらには民をも襲う狼種を……、ウェブリンから駆逐するための令だ。





人々は自分を、そして家族を守るため、その令を受け入れた。





人々は武器を手にとり、積極的に狼種をウェブリンから根絶やしにするために狩り始める。





人が狼を狩り、狼が人を喰らう。





人が狼種を迫害したからこそ、狼種は人を襲うようになったのか。





狼種が人を襲うからこそ、人々は狼種を狩り始めたのか。





一度狂い始めた歯車は止まる事もなく、ただひたすらに回り続ける。





そして、狼狩りの令が発動されてから、十年の月日が流れた。





狼種は激減し、今や絶滅危惧種となってしまった。





ゾディバの被害も下火になった今、狼種の存在は、ウェブリンの表舞台からは完全に姿を消した。





―――…けれど。





いなくなったわけじゃ、ない。
消えたわけじゃ……、ない。





オレ達は。
……ここで生きてる。





?side終了

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フフカ - はい!まってます今日もご苦労様でした。(^∀^#← (2016年4月13日 5時) (レス) id: eace5f3fac (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - ありがとうございます! そうです、前とは少し内容を変えて書いてみました!! よくわかりましたね(^○^) これからも頑張りますので楽しみにしていてください!!! (2016年4月12日 22時) (レス) id: 23fff2c30d (このIDを非表示/違反報告)
フフカ - こんなに遅くからご苦労様です なんとなく今日も来ちゃいました!似ている小説だけど前とは違うので読んでます前より詳しく書いてあるのでとても分かりやすいです(#°∀°♭ 明日もまってまーす(笑) (2016年4月11日 22時) (レス) id: eace5f3fac (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - ありがとうございます! 頑張ります(^○^) (2016年4月10日 20時) (レス) id: 23fff2c30d (このIDを非表示/違反報告)
フフカ - 分かりましたありがとうございます誰オチにするか決まったら教えてください これからも毎日応援してます!!ガンバデス (2016年4月10日 19時) (レス) id: eace5f3fac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヒメア | 作成日時:2016年3月9日 20時

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