◆人質 1 ページ25
「おいおい、どうしたんだ、二人とも? (人1)とはぐれたのか?」
「お嬢様はどこに行ったんだ?」
「塔に早めに到着したから、(人1)に早く会えると思ってたのに。まさかいち早く外に出てるとはなぁ。」
「はは、悔しそうな顔だな。」
……!!
生垣の向こうから聞こえた声に、ぎょっとしてしまった。ネッソだ。私の兄であり、ウェブリンの騎士。もう一人一緒にいるのは誰だろう。私の知らない声だ。もしかすると、ネッソの友人か誰かだろうか。もしかしたら、部下かもしれない。
詳しいことは知らないが、ネッソは中々に優秀な騎士らしく、騎士団の長を任されていると聞く。そんな優秀な騎士であるネッソが、不法侵入の現行犯でもある彼を見逃してくれるとは思えなかった。
『……まずいことになったわね。あ、でも、まだ何か盗む前ならそんなに罪も重くないのかしら。』
それならば下手に逃げようとするよりも、素直に捕まった方が安全かもしれない。
?「……は。」
『……?』
彼が、小さく笑ったようだった。布の下からのぞく口元が、私を馬鹿にするような弧を描く。
?「盗む前?」
『……? 違うの?』
身軽そうな彼の格好から、そう判断したのだが……。もうすでに何か盗み出した後なのだろうか。
?「……目的は。果たした。」
『目的……?』
意味ありげな、彼の言葉。それを問い返すより先に、茂みの向こうから響く足音が増える。
「パール、リッチー! お嬢様の散歩につきあって差し上げてください、と言ったのに……。はぐれてしまったんですか?」
「ううん、違うよ! かくれんぼしてたんだよ。(人1)ちゃんが鬼で。」
「でも、さっきまでは声がしてたのに、急に(人1)ちゃんの声がしなくなっちゃったの。」
どうやら、ザラまで一緒に来ているらしい。ますます、彼の逃げ場がなくなっていく。
「ふむ。おーい、(人1)!! 聞こえるかー?」
「お嬢様ー、そろそろ準備しないとまずいみたいだぞ!」
少し離れたところで、ネッソたちが私の名前を呼ぶのが聞こえる。それに焦ったように彼が私を振り返った。私がネッソに助けを求めるのではないかと、思ったのだろう。私だって、出来ることならばそうしたいところだが……。
声を出せば殺すと脅されているのだ。この距離では、ネッソらが私を助けに飛び出してくるよりも、彼が私を黙らせる方が絶対に早い。
それなら今は彼を黙って見送った方が、安全だわ。
12人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
フフカ - はい!まってます今日もご苦労様でした。(^∀^#← (2016年4月13日 5時) (レス) id: eace5f3fac (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - ありがとうございます! そうです、前とは少し内容を変えて書いてみました!! よくわかりましたね(^○^) これからも頑張りますので楽しみにしていてください!!! (2016年4月12日 22時) (レス) id: 23fff2c30d (このIDを非表示/違反報告)
フフカ - こんなに遅くからご苦労様です なんとなく今日も来ちゃいました!似ている小説だけど前とは違うので読んでます前より詳しく書いてあるのでとても分かりやすいです(#°∀°♭ 明日もまってまーす(笑) (2016年4月11日 22時) (レス) id: eace5f3fac (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - ありがとうございます! 頑張ります(^○^) (2016年4月10日 20時) (レス) id: 23fff2c30d (このIDを非表示/違反報告)
フフカ - 分かりましたありがとうございます誰オチにするか決まったら教えてください これからも毎日応援してます!!ガンバデス (2016年4月10日 19時) (レス) id: eace5f3fac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ヒメア | 作成日時:2016年3月9日 20時