◆邂逅 ３ ページ24
彼がちっともその傷に頓着する様を見せなかったから、余計に気になってしまったのかもしれない。まるで、自分の体のことなんてどうでもいいとでも言うような、そんな投げやりな風に見えてしまった。
『見せて。』
彼の手を取る。よほど深く切ったのだろう。ぽたりと赤い滴が下生えへと滴った。
……けっこう、酷い。
これでは、何をするにも痛むだろう。どうやって彼がここに忍び込んだのかは知らないが、まさか正面の門を通ったということはないはずだ。そうなると、ここから逃げる際にも塀を越えたりなんだりとしなければいけないはずで。
『ちょっと待ってね。』
私は懐からハンカチを取り出すと、彼の手の傷口を押さえるようにして巻き付けた。病気と違って怪我とは無縁だが、ザラから色々と習っているのだ。丁寧にハンカチを巻き付け、その端はきれいに布の中に折り込んで留める。これで、簡単にはほどけないはずだ。
『……よし！ これでいいわ。』
？「…………。」
『…………。』
……う。
私の真意を問うような沈黙。口に出して聞かれるよりも、無言て見つめられる方が堪える。
『……えっと。私はあなたが誰だか知らないし、何をしにきたのかも知らないわ。だからこそ、目の前で怪我をした誰かがいたなら、助けてあげたいと思ったの。』
貴族の家に盗みに入らなければいけないような身の上の彼からしてみれば、非常に馬鹿らしい、甘ったるい話だろう。
でも、いいじゃない。誰かに優しくする余裕があるなら、優しくするべきだわ。
例えそれが偽善でしかなかったとしても、なさぬ偽善よりはする偽善だ。
『早く行って！ 見つかったら困るんでしょ？』
今なら、彼が何もしていない今ならば、私は見ないふりをしてあげることが出来る。見た感じ、彼は手ぶらだ。何かを盗み出した後のようには見えない。今なら……、見逃せる。
？「…………。」
……？
「(人1)ちゃんー？」
「(人1)ちゃんってばどこに隠れてるの？」
？「……ッ！」
先ほどよりも遠くから響いたパールとリッチーの声に、彼がはっと我に返った。
私の反応がないからだろう。パールとリッチーの声には不安が滲んでいる。遊びの延長だと信じたがっていながらも、もしかしたら何かが起きているのかもしれないと気付き始めているようだ。
早く出て行ってあげないと……。気づかれるわ。
私はもう一度、逃げるように彼を促そうとするが……。
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フフカ - はい!まってます今日もご苦労様でした。(^∀^#← (2016年4月13日 5時) (
レス) id: eace5f3fac (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - ありがとうございます！ そうです、前とは少し内容を変えて書いてみました！！ よくわかりましたね(^○^) これからも頑張りますので楽しみにしていてください！！！ (2016年4月12日 22時) (レス) id: 23fff2c30d (このIDを非表示/違反報告)
フフカ - こんなに遅くからご苦労様です なんとなく今日も来ちゃいました!似ている小説だけど前とは違うので読んでます前より詳しく書いてあるのでとても分かりやすいです(#°∀°♭ 明日もまってまーす(笑) (2016年4月11日 22時) (レス) id: eace5f3fac (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - ありがとうございます！ 頑張ります(^○^) (2016年4月10日 20時) (レス) id: 23fff2c30d (このIDを非表示/違反報告)
フフカ - 分かりましたありがとうございます誰オチにするか決まったら教えてください これからも毎日応援してます!!ガンバﾃﾞｽ (2016年4月10日 19時) (レス) id: eace5f3fac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヒメア | 作成日時：2016年3月9日 20時
