◆高鳴る胸 １ ページ19
螺旋階段をぐるぐる廻って降りて、扉の目の前。私は今さらのように足を止めてしまっていた。
ﾊﾟｰﾙ「(人1)ちゃん、どうしたの？」
ﾘｯﾁｰ「(人1)ちゃん、お腹でも痛くなっちゃった？ それとも頭痛い？」
先に庭に飛び出していた二人だが、不思議そうに私を振り返って首を傾げている。
『ううん、なんでもないの。ただ……、ちょっと、ドキドキして。』
これまで、こうして塔の入口まで下りてきたことはあっても、私は外に出たことなどなかった。大概、塔の入口の近くには常に誰かがいて、私が降りてくると「駄目」と口にするのだ。だが、今は私を止める人は誰もいない。
第一きちんと外に出てもいいとザラから許可を貰っているのだ。だというのに、何かとんでもなく悪い事をしようとしているような恐れがある。ドキドキと期待に高鳴る胸のどこかで、私は外の世界を畏れている。
平気よ、平気。外って言ったって、庭だもん。庭に出るぐらいで、こんなにドキドキしてるなんて、変だわ。
大丈夫、と自分に言い聞かせる。
そして―――…、私は外に向かって一歩を踏み出した。
『…………。』
それは、不思議な感覚だった。一歩外に出たからといって、劇的な変化があるわけではない。窓から眺めていた世界と、なんら変わらない。庭の生垣の色も、咲く薔薇の花の色も、窓越しに見ていたものと変わらないはずなのだ。
それなのに……、私を取り巻く世界が、窓から眺めていたものと全然違って見えるのはどうしてだろう。
なんだか、あったかい匂いがする。
何の匂いなのかはわからない。ただ、甘いような、ぬくもりのような、そんなものを感じる。
『ねえ、パール。この匂い、なにかしら？』
ﾊﾟｰﾙ「この匂い？ くんくん、ああ、これって土の匂いのこと？ それとも雨の匂い？」
ﾘｯﾁｰ「あのね、(人1)ちゃん！ 雨が降るとね、土の匂いが強くなるの。むわってしてるの。」
『へえ……。』
土の匂い……、雨の匂い……。
塔の中では感じられなかったものだ。肌に触れる、少しまとわりつくような空気の感触も、私は知らなかった。塔の高いところの空気は、どちらかというと乾燥している。
『変なにおいだけど……、嫌いじゃないわ。』
かつりと足を踏み出すと、雨に濡れた石の階段がぴちゃりと小さく鳴った。
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フフカ - はい!まってます今日もご苦労様でした。(^∀^#← (2016年4月13日 5時) (
レス) id: eace5f3fac (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - ありがとうございます！ そうです、前とは少し内容を変えて書いてみました！！ よくわかりましたね(^○^) これからも頑張りますので楽しみにしていてください！！！ (2016年4月12日 22時) (レス) id: 23fff2c30d (このIDを非表示/違反報告)
フフカ - こんなに遅くからご苦労様です なんとなく今日も来ちゃいました!似ている小説だけど前とは違うので読んでます前より詳しく書いてあるのでとても分かりやすいです(#°∀°♭ 明日もまってまーす(笑) (2016年4月11日 22時) (レス) id: eace5f3fac (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - ありがとうございます！ 頑張ります(^○^) (2016年4月10日 20時) (レス) id: 23fff2c30d (このIDを非表示/違反報告)
フフカ - 分かりましたありがとうございます誰オチにするか決まったら教えてください これからも毎日応援してます!!ガンバﾃﾞｽ (2016年4月10日 19時) (レス) id: eace5f3fac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヒメア | 作成日時：2016年3月9日 20時
