入学編 第十五話 ページ16
「そんな訳がないのは、先輩が一番よくお分かりだと思いますが」
摩利の問いに達也は淡々と答える。
「しかし、あれは」
「正真正銘身体的な技術ですよ。腕だけなら、僕も出来ますよ」
僕がそう言うと達也と深雪を除いた全員に唖然とされる。
「わたしも証言します。あれは、兄の体術です。兄達は、忍術使い・九重八雲先生の指導を受けているのです」
深雪が更に告げると摩利が息をのむ。
忍術使いの指導を受けているということで達也が服部を倒すのに使ったのは忍術かと真由美が質問するが、達也は否定の答えを返すと、振動魔法によるサイオンの波とその合成について説明する。
「それにしても、あの短時間の間にどうやって振動魔法を三回も発動できたんですか？ それだけの処理速度があれば、実技の評価が低いわけがありませんが」
「あの、もしかして、達也さんのCADは『シルバー・ホーン』じゃありませんか？」
「シルバー・ホーン？ シルバーって、あの謎の天才魔工師トーラス・シルバーのシルバー？」
真由美の質問にあずさの表情はパッと明るくなり、嬉々としてトーラス・シルバーについて語り出した。
……いつかこの人とデバイスについて語り合ってみたいな。
服部が深雪に謝っていた。
「面白いものを見せて貰った」
そう声がし、声のした方向を向くと、
「十文字君！？」
十師族十文字家 次期当主十文字克人が立っていた。
「次の司波咲夜との模擬戦。俺にやらせて貰いたい」
「えぇ！？でも、服部君は？」
「会長。自分は司波との模擬戦で思い知ったので、会頭に譲っても構いません」
「そう？わかったわ。摩利、咲夜君と十文字君の模擬戦の審判も宜しくね」
「あぁ。其れでは、これより、司波咲夜と十文字克人と模擬戦を始める。ルールは先程と同じ」
じずまりかえり、
「其れでは、始め！」
まぁ、軽く、ニブルヘイムで良いか。そうして、ニブルヘイムで十文字の動きを止めた。
「なっ！？……勝者、司波咲夜」
「今のは、『ニブルヘイム』なのか！」
「えぇ、ニブルヘイムで間違いありませんが、貴方方の知っているのはニブルヘイムであってニブルヘイムでは無い。と言うことだけ、記憶しておいて下さい」
そう言い、十文字の氷を溶かす。
「まさか、ニブルヘイムを使えるとはな。司波、いや、咲夜。また、手合わせ願えるか？」
「こちらこそ、お願いします」
続く
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作者名：*0608 | 作成日時：2021年11月21日 21時
