星の結びかた (ページ14)

今日:12 hit、昨日:56 hit、合計:36,413 hit

・ページ14

・

「……なに、言ってるの、」
「Aが結婚するって聞いて、なんていうのかな、ほんとに、……あー俺はばかなことしたな、って思った」
「……そんないまさら、」
「わかってるよ、いまさらだって。でももしまだ、Aが俺のことすこしでも好きなら、とか、ね、……」
「……わたし、結婚するんだよ」
「うん」
「もう会社のひとたちにも言ってあるし」
「うん」
「直樹も1回会ったでしょ、あのひと、すごくいいひとなんだよ」
「知ってる」
「……もう取り返し、つかないんだよ、」

涙がぽろぽろと溢れては落ちていく。直樹は泣くなよ、とやさしく言って、涙を拭ってくれた。

「……ほんと、ばかだよね、」

そう言いきらないうちに、直樹に抱きしめられる。やめて、ここ外だし、と引き剥がそうとすると、じゃあ中ならいいの、と言われてしまい何も言えなくなる。

「すき、A」
「……わたしもすきだよ、でも、」
「じゃあ付き合おう？」
「そういうことじゃ、」
「両想いで付き合わないとか結婚しないとか、おかしいだろ」
「……ほんとさあ、……」

ずるいよね。そう言おうとして、口を塞がれた。直樹はいつも鈍感で、タイミングが悪くて、ずるい。けれどそういう直樹が好きでたまらないのだ、だからもうすこし、いまはこのままでいさせて。

・