+108~アリスside~+ ページ19
自分の気持ちをAに伝えるため、放課後の教室にAを呼び出した。
教室に着くと、もうAがいた。窓側の席の机の上に座っていて、窓の外の夕日見ていた。オレンジ色の夕日はすごく綺麗。でも、夕日に照らされているAの横顔も、夕日に負けないくらい綺麗だった。
すると、くるりとAが振り返り、目が合った。Aは微笑むと、私の名前を呼んだ。アリス、と猫撫で声で呼ばれると思わずきゅんとしてしまう。
「アリス、こっちおいで。話ってなあに？」
Aの側まで行くと、頭を撫でられた。頭の上に置かれていたAの、大きくて骨ばった手を握る。
「あのね、話っていうのは……、」
「俺のペットやめたいんでしょ？言いたいこと、なんとなく分かる」
言葉を遮(さえぎ)られた。確かに、言いたいことはそれだけど…、Aの様子が少しおかしい。
「アリスが俺のものじゃなくなるのは寂しいけど、いいよ。やめても」
「ぇ……、」
「じゃあね、アリス。もうその可愛い顔、二度と俺の前に出さないで」
見とれる程に整った顔が、ぐんと近付いてくる。柔らかい唇が、私の頬にキスをした。まるで、最後のお別れのように。
「や、…やだっ、行かないでっ…！」
教室から出ていこうとするAを、後ろからぎゅうっと抱き締めた。するとすぐ腕を取り払われ、私の顔をぐいっと上に上げた。
「俺のものじゃないアリスなんて、いらない」
凍り付くような冷たい瞳。見つめられるだけで、氷ってしまいそうなくらい。
「…な、んで…、私はただAの彼女にっ……、」
じんわりと涙が浮かんでくる。視界がぼやけている中、Aが教室を出ようとした時、私の中で我慢してきたものが一気に爆発した。
「ばか！！！」
教室に響き回る私の声。こんなに大きい声を出したのは、いつぶりだろう。
「ばか！！Aのばか！何にAは縛られてるの？何をそんなに背負ってるの？」
大きな声を出したため、息があがる。そしてAは、ただ冷たい目で私を見つめていた。
私は力が抜けて、ペタンと床に座り込んだ。下を向くとポタポタと涙が落ちてくる。
「…じゃあ特別に、可愛いアリスに教えてあげる」
私の耳元でAがそっと呟いた。
「俺は、自分の彼女を殺したんだよ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 287人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
オタク(プロフ) - 結局ゆりあとはどうなったんだw 女王と猫くんのピアスの話も完結がぱっとしないし…。 (2019年1月21日 9時) (
レス) id: 4494596138 (このIDを非表示/違反報告)
マヨいちご(プロフ) - え、ちょ、ちょちょっとリクいいですか(挙動不審)あの、総長にチェシャ君の、なんか…こう、御初()を奪われて欲しいです()出来ればお願いします！！(ｽﾗｲﾃﾞｨﾝｸﾞ土下座) (2018年1月15日 21時) (レス) id: 107876932a (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - とてもおもしろくて素敵でした！読んでいて楽しかったです。あと一つ質問なのですが妹ちゃんはどうなったのですか？ (2017年12月14日 17時) (レス) id: ce8ba9399b (このIDを非表示/違反報告)
珈世 - 女王，あんま出てこんかったな(´・ω・｀)w (2017年4月6日 18時) (レス) id: 8038c86eb0 (このIDを非表示/違反報告)
aa. - うわぁ！！もう面白すぎ、かっこよすぎて、読みやすくて、一気に読んじゃまいましたよ！！？更新の方はもうしないんですか？久しぶりに良い作品にたどり着けました！！ (2016年7月17日 16時) (レス) id: d4e903947b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くるくる | 作成日時：2014年7月19日 18時
