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「宮地」
「…藍」
伊吹は俺の頭を自分の胸に引き寄せた。
俺は小さく息をした。
その瞬間、苦しさがすっと消えた。
「頑張ったな」
「…おう。お前もな」
ゆっくりゆっくり、ただの一人の人間として息をした。
ただの宮地暦として。
桜川でも西尾でもない、宮地として。
「俺さ、宮地のことなーんも知らねーって思った」
一緒に駐車場までの道を歩く。
志摩さんは先にメロンパン号に乗ってるらしい。
「それ言ったら俺も藍のことなんも知らねぇよ」
煙草吸っていい？と聞くと人前で吸うなよニコチン中毒が、と言われた。
「いつも俺をニコチン中毒って呼ぶよなお前」
「だあって昼間から吸ったりするからだろ？」
「煙草吸う時だけはちゃんと吸ったり吐いたり出来たからなぁ…」
「…ふぅん」
「藍がどこで何をやってたとか知らないけど、でもわかってることがある。
ずっと…俺の大好きな藍のままでいてくれたこと」
人想いのいい奴。
守りたいものをわかっていて、いつも全力で走って、いつも誰かのために動ける奴。
「それ知れただけでもよかったなー。なんだかんだ俺はお前が心配だったんだ」
「…宮地は怒ると俺を苗字で呼ぶ」
「ん？」
「あとめちゃくちゃバカで自己犠牲の精神が強い。でも頭はすっげーいい」
「…ん？」
「それ、ずっと変わんねぇよな」
伊吹が優しく笑った。
今はお互い一番の理解者にはなれない。
それでも確かにあの頃は一番の理解者だった。
「これからどうすんの」
「まぁ…色々できることをやっていくよ」
「そっか」
「じゃあまたな」
「またな」
お互い別れて、車に乗る。
煙草をふかして片隅に見えるメロンパン号を見た。
じゃあまた生きてたら会おう、藍。
俺の愛しいヒーロー。
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彼方(プロフ) - ssさん» 返信遅くなってしまい申し訳ございません。そのお言葉ですごく励まされました、なんとか終わることも出来ました。読んでくださりありがとうございました！ (2020年9月23日 0時) (
レス) id: 2bed11084c (このIDを非表示/違反報告)
ss - 展開にどきどきして続きが気になって夜も眠れません！！！！すごいです！本当にとっても面白くて好きです！更新楽しみに待っていますね (2020年9月16日 23時) (レス) id: b5f1103cd4 (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - ぽんきちさん» コメントありがとうございます…！主人公の名前はまだ固定にさせて欲しいです…この話が完走出来たら考えてみます…すみません… (2020年9月11日 6時) (レス) id: 2bed11084c (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - ssさん» コメントありがとうございます…！ssさんも体調にお気をつけてください！ (2020年9月11日 6時) (レス) id: 2bed11084c (このIDを非表示/違反報告)
ぽんきち(プロフ) - いつも読ませていただいてます！続きが楽しみです！主人公の名前が変更できるようにはなりませんか？ (2020年9月10日 23時) (レス) id: 60a8b99502 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼方 | 作成日時：2020年9月6日 18時
