俺の彼女は努力家です。【そらる】 (ページ19)

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No.19 ページ19

うらたぬきside

今さっき

まふまふの家で遊んでたら、半べそかいてるAがやってきた

まふまふが部屋に招き入れるなり、涙をボロボロと零し始めたAは自分のことよりもまずそらるさんの名前を出した

そして、それを聞いたまふまふは俺にAを預け、家を出て行ったんだ

Aはまだ泣いてる

部屋の隅っこに体育座りをして

そして俺は、そんなAの周りにぬいぐるみやクッションを積み重ねてる

ソファの上以外にも探せば探すだけ出てくるぬいぐるみやクッションはあっという間にAを囲った

うらた「クレーンゲーム、上手くなったな。これほとんどAだろ？」

隣に腰掛けそう聞くと、鼻にかかった声で「うん」と聞こえた

A「うらたさんにも、取ってあげるよ」

うらた「俺はいいよ。そらるさんにあげな」

だってあの人の為に沢山練習したじゃん

あの人の……為に……

惚れた弱味というかなんというか、クレーンゲームを教えてほしいと言われて断る気にはなれなかった

叶わないとわかってるからか、ただ少しでもいいから隣にいたいと思ったのかもしれない

あまり長い時間というわけではないが俺にとってはかけがえのない時間だ

それに……Aが始めて自力で取ったものを貰えたからいいんだ

A「なんで私……逃げて来ちゃったんだろう……」

泣いてるそらるさんを置いて。そう言ったAは手近なクッションを取り抱きしめる

不安なんだと思う

うらた「でも……今回のは間違いじゃないかもよ」

A「そう、かな……？」

うらた「うん。例え間違いだったとしても、Aとそらるさんなら大丈夫。お互いに……想ってるから……」

覚悟を決めて言ったのにチクリと胸が痛んだ

そう、俺は2人がお互いをかけがえのない存在って認識しているのを知ってる

俺の入る隙なんてはなからない

それに、Aを支えられるのはそらるさんだ

Aは努力家なのに本人はわかってない

そんな彼女を甘やかせられるのはそらるさんだけだ

あの雰囲気、あの声じゃないとダメなんだ

俺じゃ……ダメなんだ……