追想-TUISOU-１０ Secretな彼女番外編 (ページ16)

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バスルームの壁にもたれて俺を少し見上げるリン
俺は、一呼吸おいて
ゆっくり口を開いた

「3年前だと思うんだけど・・・」

「うん」

俺は握ってい手をキュっと力を入れる

「リンが突然、別れたいって言ったろ？」

「うん」

小窓から、激しく雨が打ち付け始めた

「俺さ、軽く考えてたんだ・・
それは、リンもその・・・
あんまり深刻に話さなかったし、冗談かと思った・・・」

「冗談じゃないよ
私は本気だった」

「あぁ・・リンは本気だったんだと思う
今思えばね
でも、俺は、そうじゃなかった
その時は
少し大きな喧嘩ぐらいにしか思わなかったんだ・・ただ」

「ただ？」

リンが怒っているとき
こうやって言葉を反復する

俺はこのリンの作戦に非常に弱い

「あ、いや、今になって思うと、
俺も売り言葉に買い言葉ではないけれど、
思ってもなかったことを口走ったりして・・・」

「もういいよ、それは」

呆れているのか
目線をそらし深いため息をついた

「いや、よくないよ、あの時俺は、
その・・・
彼女とまだ付き合ってもなかったし、
同棲もしてなかったんだけど
素直になれなくて
というか、俺不器用だからさ、
そう言ったら、リンが焦って動揺して
なにかしらのアクション起こしてくるって思ったんだ」

リンが俺の顔を見直し

「んなわけないよ
だって私、争い後するの嫌いって
昔っから
言ってるじゃん
わざわざ、
翔が大事にしてる彼女ともめごと起こすなんて、バカげてる」

「そう・・俺は、長くリンと付き合いながら、
リンの性格を把握してなかったというか、
凡ミスだったんだ・・・」

「もういいよ、別に
とりあえず、お風呂入ろう？
身体が冷えちゃう
女子って冷やしたらダメなの、わかるでしょ？」

バチバチと窓を叩くように雨が吹き付け、
周りの木が恐ろしい音を立てて揺れ
ザザザと響く

リンがあきらかに
話を変えたいのがあからさま過ぎたけれど

俺はそのまま話をつづけた

「それに加えて、俺は素直ないから・・・
あのあと、東京に戻ってそのまま彼女と」

「もういいって。
翔、別に私はそんなこと気にしてないし
過去の事だし」

と笑った

でも黒目がちのその瞳は
無理してるのを物語っていた