追想-TUISOU-１０ Secretな彼女番外編 (ページ14)

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「確かに音が出てきたよな・・・」

「日本の家屋にくらめたら、頑丈だけど・・・
ちなみにこれ築100年」

「嘘だろ」

「嘘」

「んだよ、嘘かよ」

「正確には96年」

「変わんねぇ」

「あはは」

大笑いするリン

「おまえさぁ・・・まぁいいわ・・・」

「何よ、途中でやめないで。気になるじゃん」

「いや、変わらんねぁなって思っただけ」

そう言うと、
フッと笑ったリン

「とりあえず・・着替える？お互いずぶぬれだし」

そう言って自分の服をバサバサとわざとらしく振る

せっかく、TGVで渇いたのに
またタクシーから、家のドアのこのちょっとの距離でずぶぬれになってしまった俺ら

「だな・・・」

「シャワー浴びたほうがいいかも・・・」

「てかさ・・・」

俺がそう言うと

「家です」

「だから、それはわかってるって・・・誰の？」

「私の」

・・・

「私の？」

「そう、私の、
ここは、私の家
去年買ったの。まぁいろいろ交渉して大変だったんだけど」

「嘘だろ？」

「メイ嘘じゃないもん」

「あはは、それさ、嘘じゃないもん
じゃなくてさ、メイ怖くないもんじゃなかったっけ？」

「そうだっけ？」

そう言いながら。笑いながら部屋からでたリン

ここはリンの家？
ボルドーに家を買ったって
初めて聞いたぞ

てか２０代で家を買うって

いつのまにか
卒業して6年の間に
おれには、知らないリンがいた

俺に何も言ってくれなかったことに
俺が３年前に決めたことが
間違っていたんだと後悔する

「翔っ」

「何？」

離れたところから、少し大きめの声で俺を呼ぶリン

「シャワーここね？」

声のする方に俺は歩き出す

レンガ造りの重厚な壁
その奥の扉を開くと
そこには大きなベッドがあって、
思わず、ドキっとしてしまう

確かによく見ると、
生活感がそこにはある

「どこだよ」

「こっちだって」

俺は、その寝室を見回すと
奥にさらに扉があり、
そこを開けると

そこにはリンのものであろう服が
綺麗に壁に吊り下げられてあって

ここがどうやらウォークインクローゼットだと気づく

俺は、
間違えたと思い
そこを出ようとすると
さらに奥の扉が開き

「どこ行くのよ」

と、リンが顔を出した

「え・・・そっち？」

「こっち」