Devil's little smile 【Ｓ】 (ページ2)

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けやきの下でページ2

俺は……
Aを幸せにしてやれなかったんだろうか……

７年前

大学の入学式

高校とは違って、規模の大きさに、圧倒される

幼稚園からエスカレーターで上がってきたとはいえ、

経済学部を選択した俺は、必死になって勉学に励み、入学した

俺は……この時、すでに敷かれたレールを、踏み外したくて、
ウズウズしていた

反発心から、髪を金髪に染め、ピアスもあけた

父親が官僚、母親が、大学教授ときたもんだ

小さい頃から、習い事にしかり、学校にしかり、決められたレールを歩かされてる気がしていた

そう、結婚もね、俺には、生まれた時から、すでに相手が決まっている

いいなづけっつぅの？

代議士の娘、一之瀬綾

顔立ちは、外人か？って思うくらい整っていて、スタイルもいい
頭もよく、明るい

高校生の時、
その綾と正式に付き合うっていうの？

子供の時から、決められていた俺らは

いや、正確には俺には、恋愛感情が何なのかすらわからなかった

でも、決められていたレールを歩くしかない俺は、

綾を相手に、初めてキスをしたり、抱き合ったり、そして、その先も経験した

綾が
嫌いだった訳じゃない

ただ、決められたレールが、
当時の俺の中で反発してた

綾以外に、
遊べるような女の子はたくさんいたし、
不自由は無かった

ただ
そこには、欲だけ吐き出したあとは
虚しさが残るだけ

綾と向き合って３年……

そんな時だ

キャンパスの
ケヤキの木の下のベンチで、
Aに会ったんだ……