枝垂桜 ページ50
ただ、私の中では、１０年という基盤がそこにあり、
彼との生活は少し戸惑いばかりで、
いかに、今まで心地よく過ごしていたのかが身に染みてわかった
そして
彼は、相変わらず
帰国すると、
「白い家」にこだわり、
必死に探す
少し暖かくなり、私たちは
アメリカで式をあげた。
彼の友人ばかりであったけれど、
両親も心から喜んでくれて、
華やかで幸せな式だった
それでも、始終、彼は私のことを気遣ってくれる
「ごめんな、早く白い家、探そうな」
って、式の最中でも照れ臭そうに言うので、
私は、意を決して
「こっちで、探さない？」
と提案してみた
すると彼が
「でもそれだと、不安になったりしない？」
と聞くから
私は、
「離れているほうが、今の私は、不安なの」
と答えた・・・
彼は、フっと笑い、キスをする
「わかった、早急に用意する、
白い家に何かご要望は？」
「ん、特に無いけど・・・
ただ、庭に桜を植えたい」
とだけ言った。
今、この目の前にある桜を
思い出したからだった
しばらくして、
白い家を見つけてきた彼は
今度は
小さな、ムクムクの子犬と一緒に帰ってきた。
「まだ、・・・こいつは、その・・・
庭の桜の木と同じくらい、小せぇけど・・・
そのうちでっかくなるから」
と、本当は、動物が苦手だろうに、
私にむかってほほ笑んだ
そして、仕事がてら
日本に一時帰国した私たちは、
彼の提案で
11年前と同じ日に、京都を訪れたのだった
私はあの時と同じ枝垂れ桜の前で
目を細めた
「A？少し顔色が悪いんじゃね？」
「・・・うん、
いろいろと思い出してたの、当時のこと」
私は、その桜を見上げる
「・・・だな」
彼もまた桜を見上げた
「翔？」
「ん？」
「あの時、この桜を見た時は、
私・・・終ることばかり考えていた」
「・・・そっか」
「あの時描いた私たちの夢は
花火のように消えてしまいそうだった」
「あぁ、でも、大丈夫だったろ？」
翔がこだわってたのがわかる
「ん、白い家、大きな犬・・・は、
まだ小さいけど、・・・
あと、男の子と女の子・・・」
「あはは、それは・・・
いつか・・・な」
笑う翔に
私は自分のお腹に手をあてる
「いるの・・・二人」
「え・・・」
そう、
私は再び誓った桜の前で、
今度は驚いた顔の彼に向かってほほ笑んだ
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紫姫(プロフ) - やっちさん» やっちさん はじめまして。コロナ禍の影響で在宅ワークが主になったので体調は落ち着いたのですが仕事が忙しくなり、なかなか落ち着いて書けなくなってきましたwでも、嬉しいお言葉ありがとうございます。頑張って書いちゃいますw (2021年10月21日 20時) (
レス) id: cb0cb17065 (このIDを非表示/違反報告)
やっち(プロフ) - 初めまして。体調はいかがですか？。紫姫さんの文章が凄く素敵で尊敬します。このお話もドラマになりそうな位凄いです！これからも良いお話をお願いします (2021年10月21日 19時) (レス) @page48 id: cc7865b69e (このIDを非表示/違反報告)
紫姫(プロフ) - 真丘さん» 真丘さんはじめまして。そう言っていただけると凄く嬉しいです。私の中でもこの作品は思い入れあるものです。ただ、今読み返してみると、誤字多いなぁ。また、ぜひTwitterでもよろしくお願いいたします。あ、あと書く勇気を与えてくださってありがとうございます。 (2021年6月7日 8時) (レス) id: cb0cb17065 (このIDを非表示/違反報告)
真丘(プロフ) - はじめましてm(_ _)mかなり前にこちらの作品を読ませていただいたのですが、ふと思い出し、どうしても読みたくなって朝から一気読みしてしてしまいました笑お体に気をつけてお過ごし下さい！Twitterの方もフォローさせていただきました！ (2021年6月6日 14時) (レス) id: 07962a3068 (このIDを非表示/違反報告)
紫姫(プロフ) - ★mmiioo★さん» ここで、綺麗い終わらせておかないと、じゃああ、今までなんだったんだとなってしまいそうなのでｗあはは、綺麗にしておきましたｗ今日は、雨ですが、桜、まだ咲いてます。→今ちょうど見ながら書いてます (2019年4月14日 15時) (レス) id: 126fa04e95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫姫
| 作成日時：2018年9月12日 19時
