憧れの陸上生活だけど、兄さん(ウツボ)達がウザい【ツイステ】【twst】【男主】

１８：ハートくん ページ20

ぶつかられた反動で、後ろの方に倒れる。

「いてて…、」

「おっと… 悪いけど オレ、急いでるから！！」

ぶつかってきた男の子はそのまま走り去っていく。

その子はデュース君のスペードマークみたいに、顔にハートマークのメイクをしていた。

するとそのあとから、凄い剣幕の男の子と、「おい！ 待つんだゾ！！」と叫ぶ黒いタヌキが走ってきた。 …ん？ 黒いタヌキ？！

「A、たてるか…？」

僕が黒いタヌキに夢中になって地べたに座ったままでいると、デュース君が手を貸して立たせてくれる。 優しい。

「大丈夫、ありがとう…！」

「あーなんかほのぼのしてる所悪いけど！ さっきここ通った奴、掃除をサボりやがったんだ！」

さっきの凄い剣幕の男の子が叫ぶ。 なるほど、さっきのハートくんはこの男の子達から逃げるために走ってたのか…。

「なにっ！ それは悪い奴だ！ 人を捕まえるには……」

「とりあえず、追いかけよう…！」

デュース君、男の子、僕、そして黒いタヌキ… 三人と一匹でハートくんを追いかける。


「捕まえるには… 足を止める、いや、縄で拘束する…？ それとも…… えぇっと……」

「ふなぁあ″！！ なんでもいいからぶちかますんだゾ！！ 早く！！」

デュース君が、どう捕まえようか考えている。

…こりゃ、考えてる間に逃げられそうだな。

この距離なら、魔法より走った方が早いはず…。

僕は全速力でハートくんの背中をめがけて走った。

慣れない足での全力疾走はかなり体にクる…。でも、あとちょっと！ あとちょっとで追いつきそうだ…！

僕は最後の力を振り絞りハートくんの腕をつかんだ。ハートくんは、驚いて僕の方に振り返る。

…が、それとほぼ同時にデュース君は、僕らめがけて魔法を発動した。

「なんでもいいから、いでよ！ 重たいもの！！」

あ、巻き込まれる… そう気づいた時には、もう遅かった。

頭上に何か大きい物が来たと思うと、次は鈍い音と共に後頭部に大きな衝撃が走る。

僕の体が前のめりに大きく傾き、頭から床に突っ込んでいった。

うわ…ヤバい…！

僕は、もうすぐ顔面に来るはずの痛みに身構え、ギュッと目を瞑る。


しかし、その痛みは全く来ない。 顔に当たるのは柔らかいクッションみたいなもの。

「…？ あれ？」

「あいたた…… って、早くどけよ！ お前！」



「ふなぁあ！ ユウ！ どうしたんだゾ！？」

何故かユウさん(？)まで倒れた。 …鼻血を出して。

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