142 ページ44
.
からっぽになってしまいそうな心。
風が吹いて、雨が降って。
それでも一人で踏ん張って立ってる。
思わぬ突風に飛ばされそうなとき、すかさず手を差し伸べてくれる優しい人。
そんな人が、私にはいる。
「隆二、おまたせ。」
「うん、お疲れ様。」
職場のホテルまで迎えに来てくれた隆二。
エントランス横の柱に寄りかかってスマホをいじってた。
その姿を見つけたら、ほんのり胸が温かくなった。
駆け寄ろうとしたのに、先に歩を進めたのは隆二のほう。
いつだって隆二はそばに来てくれる。
私を安心させてくれる。
「腹減った?」
「うん、ペッコペコ。」
「ペッコペコかぁ、俺もペッコペコだなぁ。健ちゃんのとこでも行く?」
「行く行く!なんか作ってもらおう?」
「あ、健ちゃんのナポレオっ、」
「ナポレオン?」
「ナポリタン食ったことある?」
「ねぇ、ナポレオンって言った?」
「超うまいよ。」
「ねー隆二ぃー、ナポレオンって言ったよねー?なに流してんのー。」
「うっせーなー、いちいち突っ込むなー。」
「でも隆二、顔真っ赤だよ?」
耳まで赤くしちゃって、恥ずかしいんだね。
かわいい。
「俺、噛みグセあるけど、いちいち反応してたら大変だよ?」
「そう?」
楽しいから私は全然いいけど。
隆二のちょっとまぬけなところ、もっと見たいと思うけど。
「ずっと一緒にいてくれるなら慣れてよ?俺のそういうとこも。」
そう言った隆二はさり気なく私の手を握った。
ずっと一緒に……
隆二といられたら、どんな未来が待ってるんだろう。
こんなふうに、ずっと笑っていられるのかな。
しばらく手を繋いで歩いて、やっと辿り着いた健ちゃんのBAR。
お店に繋がる階段をおりて、私たちは途方に暮れた。
「………ウソでしょ健ちゃん。」
「………俺もう腹減って死にそうなのに。」
「ナポレオン楽しみにしてたのに。」
「おいっ。」
「どうする?」
「他行こっか。」
BARの扉にはCLOSEの札。
ほぼ無休なのに、今日はお休み。
もうナポリタンの口になっちゃってたのにほんと残念。
仕方なく階段を上がって他の店を探して、空いてるファミレスで食事をした。
デザートにいちごのパフェも食べて、大満足で外に出た。
1071人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くるみ(プロフ) - atokさん» atokさんお待たせしました。atokさん的にはおいしい展開になってきましたよ。あー、流されちゃう(笑) (2019年4月8日 20時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - 白雪さん» 白雪さーん!お待たせしました。やだ、白雪さんの怒りが爆発しちゃってますね(笑)どうしよう…この先ちょっと白雪さんの反応が怖いというか楽しみというか(笑)また待ってますよー。 (2019年4月8日 20時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - 名無し49962号さん» 名無し49962号さんお待たせしました。ドキドキしていただけて光栄です。なにかと切ない場面ばかりなので、そういった声を聴けて安心しました。こちらこそコメントありがとうございます。 (2019年4月8日 19時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - ねーやんさん» ねーやんさんお待たせしました。先の妄想はいかがですか?お話の内容と合ってたかな?(笑)優しい隆二だから……どう動くんでしょう(笑) (2019年4月8日 19時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - yuさん» yuさんお待たせしました。課長にイライラしちゃってます?(笑)ほんと言葉足らずな人で…糸は絡まるばかりです。そんな課長をどうぞこれからも見守ってあげてください。 (2019年4月8日 19時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:くるみ | 作成日時:2019年1月24日 23時