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……気まずい。
どうしよう、ほんと気まずい。
下を向いてしまった前田さんと、その隣には未だパソコンと向き合う隆二。
とりあえず、私もコーヒー飲もうかな?
ひと口飲んで、カップを置いて、また飲んで。
時間にしたら1分弱。
無言のこの場は耐え難い空気が流れてた。
「前田、持ってきた資料見せて。」
「あ、はい。」
やっと口を開いた隆二と、カバンから一枚の紙を出した前田さん。
ビクビクしちゃってるじゃん。
紙を受け取った隆二は、それに目をやって、眉間にシワを寄せた。
今度はなに!?
「……100%のトキメキをあなたに……甘いカクテルと恋に酔いしれる……って、なにコレ。」
紙を見ながら読む隆二は、顔がだんだんニヤける。
その横で、ハッと目を開いた前田さん。
「間違えましたっ!!」
大声でそう言って、ものすごい勢いでその紙を奪い取った。
とっても赤い顔で。
「え、婚活してんの?」
「わ、私じゃないです!畑木先輩です!」
「へー、畑木、婚活してんだ。」
「あ!ダメ!ナイショ!」
「甘いカクテルで甘い恋ねー。」
「今市さーん、お願いです、聞かなかったことにしてください……」
「畑木が婚活ねー。」
「もー、今市さーん、お願いですー。」
意地悪な笑みを浮かべる隆二の腕にすがり付く前田さんを見て、笑いが堪えられなくなった。
「ほら、笑われてんぞ?」
「2人いいコンビだね。」
「だってよ前田。良かったなぁ?」
そう言って隆二は優しい顔になって、前田さんの頭をぽんぽんと撫でた。
それを見て、なんだか、胸がチクッとした。
隆二は優しい人。
それを知っているのは私だけじゃない。
そう思ったら、急に胸騒ぎがして。
私は前田さんに嫉妬してる。
「今市さん意地悪しないでくださいー。」
「わかったから、資料出してよ。」
「もー、どこに行ったかわからなくなっちゃいましたよ。」
「なにしてんの……ちょっと鞄貸して?」
2人の腕がくっついたこと、隆二が前田さんを見て笑ってること、全部が羨ましい。
いつもそばにいた隆二のことを、今は遠く感じる。
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くるみ(プロフ) - atokさん» atokさんお待たせしました。atokさん的にはおいしい展開になってきましたよ。あー、流されちゃう(笑) (2019年4月8日 20時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - 白雪さん» 白雪さーん!お待たせしました。やだ、白雪さんの怒りが爆発しちゃってますね(笑)どうしよう…この先ちょっと白雪さんの反応が怖いというか楽しみというか(笑)また待ってますよー。 (2019年4月8日 20時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - 名無し49962号さん» 名無し49962号さんお待たせしました。ドキドキしていただけて光栄です。なにかと切ない場面ばかりなので、そういった声を聴けて安心しました。こちらこそコメントありがとうございます。 (2019年4月8日 19時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - ねーやんさん» ねーやんさんお待たせしました。先の妄想はいかがですか?お話の内容と合ってたかな?(笑)優しい隆二だから……どう動くんでしょう(笑) (2019年4月8日 19時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - yuさん» yuさんお待たせしました。課長にイライラしちゃってます?(笑)ほんと言葉足らずな人で…糸は絡まるばかりです。そんな課長をどうぞこれからも見守ってあげてください。 (2019年4月8日 19時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くるみ | 作成日時:2019年1月24日 23時