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「ある程度こんな感じはどうかなって、企画書作ってきたんだけど。」
「あ、ありがとうございます。見てもいい?」
「手書きで修正してるとこあるから、ちょっと見ずらいとこあるけど、どうぞ。」
隆二が作成してくれた企画書。
写真や紹介内容の構成が大まかに書いてあって、もう企画書というより、これが原本でもいいくらい。
「表紙はチャペルでもいいかなって思ったけど、それをバックに新郎新婦の後ろ姿とかあってもいいかなぁって俺は思ってるんだけど、どう?」
「うん、それいいかも。なんかインパクトが欲しいよね。」
「チャペルのここをアピールしたいとか、そういうのない?」
「んー、ナイトウエディングでやるイルミネーションはすごく綺麗だよ。」
「イルミネーション………それいいじゃん。大体の式場が花があってチャペルがあってって明るい表紙だけど、イルミネーションでぼんやり写るチャペルに、照明に照らされる2人……よくない?」
「……うん、素敵。」
「だよね?俺もそれ撮りたい。」
「イメージで画像作ってみて、課長に相談してみるね。」
隆二との打ち合わせは、いい感じに肩の力が抜けて、アイディアがたくさん浮かんだ。
気の知れた人との仕事はすごく楽しい。
隆二もずっと笑顔で、安心した。
「そういえば、今日は課長さんはいらっしゃらないんですか?」
「そうなんです。横浜にオープンするホテルの方に視察に行ってて、不在なんです。次の打ち合わせには必ず。」
だけど、前田さんが課長ってフレーズを出した途端、隆二はコーヒーを片手にパソコンへと目を向けた。
「そうなんですかぁ。私……実は課長さんにお会いするの楽しみにしてたんです。」
「え?課長に?」
「以前一緒に仕事したスタッフが、登坂課長がかっこよかったって騒いでて。」
残念ですって、前田さんが笑ったときだった。
黙ったままだった隆二がカップをテーブルに置いて、パソコンから視線を外すことなく低い声で言う。
「前田、打ち合わせ中。」
「あ、はい。すいません。」
「そういう話はあとにして。」
「……はい。」
「遊びに来たんじゃないんだから。」
「すいませんでした。」
こんなに不機嫌な隆二は初めて。
言ってることは正しいし、なにも間違ってない。
けれど、そんな怖い顔で言わなくてもいいのにって、前田さんがかわいそうに思えた。
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くるみ(プロフ) - atokさん» atokさんお待たせしました。atokさん的にはおいしい展開になってきましたよ。あー、流されちゃう(笑) (2019年4月8日 20時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - 白雪さん» 白雪さーん!お待たせしました。やだ、白雪さんの怒りが爆発しちゃってますね(笑)どうしよう…この先ちょっと白雪さんの反応が怖いというか楽しみというか(笑)また待ってますよー。 (2019年4月8日 20時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - 名無し49962号さん» 名無し49962号さんお待たせしました。ドキドキしていただけて光栄です。なにかと切ない場面ばかりなので、そういった声を聴けて安心しました。こちらこそコメントありがとうございます。 (2019年4月8日 19時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - ねーやんさん» ねーやんさんお待たせしました。先の妄想はいかがですか?お話の内容と合ってたかな?(笑)優しい隆二だから……どう動くんでしょう(笑) (2019年4月8日 19時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - yuさん» yuさんお待たせしました。課長にイライラしちゃってます?(笑)ほんと言葉足らずな人で…糸は絡まるばかりです。そんな課長をどうぞこれからも見守ってあげてください。 (2019年4月8日 19時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くるみ | 作成日時:2019年1月24日 23時