甘蜜蝶々3

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「Aさん今日は絶対残業なしですよ？」





「ほんとに私も行かなきゃダメ？」





「ダメに決まってるじゃないですか。Aさんも人数に入れてお店予約してるんですからね。」





「私行くなんて一言も言ってないのに。」





「え、哲也さん言ってましたよ？乗り気だったって。」








言ってねぇー。




哲也さんのうそつき。




今日の菜美ちゃんは気合いが違う。




いつもはストレートな髪をくるくるに巻いて、服も可愛らしいピンクのワンピースを着てた。




どうやら３対３の飲み会らしくて、もう一人サロンの子を誘った菜美ちゃん。




この強い押しには敵いそうにない。




朝から憂鬱になってる今日は、ブライド取材班との打ち合わせ。




私も気合い入れないと。







午後になってサロンの掃除をしていたら、こんにちはって、聞き慣れた声がした。




入り口には、隆二ともう一人、女の人が立っていた。








「ブライドの今市です。今日はよろしくお願いします。」




「前田です、よろしくお願いします。」




「お待ちしてました。Aです、よろしくお願いします。こちらにどうぞ。」









サロンのテーブルに案内して、コーヒーを淹れに事務所に入った。




トレーに３つカップを乗せてサロンに戻ろうとしたら、その寸前聞こえてきた２人の会話。









「Aさん、綺麗な方ですね。」





「でしょ？優しくて話しやすい子だから、そんな緊張することないよ。」





「はい……頑張ります。」





「うん、頑張ろう。」









隆二が私のことをそんな風に言ってくれて、すごく嬉しかった。





だから、私も緊張してたけど、顔が一気に緩んだ。




単純だな、私。









「お待たせしました。熱いので気をつけて召し上がってくださいね。」









カップをテーブルに置いたら、隆二はちゃんと目を見て、ありがとうって言ってくれた。





なんだろう、これだけなのに、嬉しいの。





愛想を尽かされたって思い込んだりしてたけど、違うのかなって、安心したのかも。





隆二の言葉や仕草に、こんなに舞い上がるなんてことは今までなかった気がする。





ほんと、なんだろうこの気持ち。

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