甘蜜蝶々3

112 隆二side ページ14

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健ちゃんが酒を作ってる間、岩ちゃんはテーブルに乗せた腕に突っ伏して、ついには目を閉じた。





これすぐ寝るな。





岩ちゃん酒強いのに、こんなに酔うって、どんだけ飲んできたんだろ。









「岩ちゃん今日は祝ってもらったの？」





「そーなの、友達がさー、みんなでねー。もうとっくに過ぎてるけどねー。」





「あ、今日じゃないの？」





「うん、先週。」





「でもよかったじゃん、祝ってもらえて。俺なんてここで健ちゃんと２人でケーキ食ったっけなぁ。」









いつだかの誕生日、彼女もいない俺は健ちゃんに誕生日だと猛烈アピールして、ケーキをごちそうしてもらったっけ。





コンビニのケーキにロウソク立てて、店の照明落として、バースデーソングを健ちゃんは熱唱。





あれはあれで面白かったけど。





次の誕生日こそは好きな子と……。





Aが一緒にいてくれたら嬉しいんだけど。









「なんや、俺じゃ不満か？」





「全然。ただ、次は女の子と過ごしたいなぁって思ってるけどね。」





「女の子ねー、誰のこと言ってんだか。」





「ちょっと健ちゃん…」









その話題には触れてくれるなって意味で首を横に小さく振ると、健ちゃんは岩ちゃんを見て、あーはいはいって納得した顔をした。





応援してたはずの俺が、好きになっちゃったなんて言えっこない。





けど、もしも、Aと付き合うことになったら、それはそれで覚悟はしなきゃと思う。





岩ちゃんとこうして酒を飲むことも、会うことも出来なくなることを。





恨まれてもしょうがない。





ときには取り巻く人間関係を崩してしまう恋愛。





どこかで傷つく人がいるのかと思うと、幸せになることを躊躇ってしまうけど。







やっぱり、好きな人と一緒になりたい。







だから、ごめんね、岩ちゃん。





俺は自分の気持ちも大事にするからね。









「おい、岩ちゃん、寝てるんか？」









ビクともしない岩ちゃんに、健ちゃんはグラスを置きながら声をかけた。






俺と同じコークハイ。









「起きてますー。けどすげー眠い。」












伏せたままうっすら目を開けた岩ちゃんはグラスを握った。





眠いけど飲む気はあるみたい。

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