111 隆二side ページ13
.
「はぁぁぁぁぁ…」
「それやめろって、こっちまで気分落ちるやん。なんなんさっきから。」
「今日はA来れないって。」
「あー、誘ってたんか。そらそうなるわな。」
「でしょ。気分ガタ落ちなんだよこっちは。」
「そんなにあいつのこと好きやったん?」
「……気づいたらね。こんな好きになっちゃってたよ。」
「なんやそれ、はずっ。」
ニヤニヤしながら健ちゃんはグラスを洗う。
言っちゃった俺のほうが恥ずかしいんだけど。
健ちゃんその顔今すぐやめて。
今日も会えるって期待して待ってた健ちゃんの店。
窓には昨日から続く雨が打ちつけていた。
「…健ちゃんおかわり。」
「同じのでええの?」
「濃いめで。」
「はいよ。」
すぐに出来たコークハイ。
ウイスキーを飲み慣れてる俺でも顔が渋るほど苦い。
これ濃すぎだろ。
「マスター、ごちそうさま。」
「ありがとうございました。お気をつけて。」
ソファー席に座ってた男二人組が帰って、店には俺だけになった。
Aも来ないんじゃ、もう帰ろうかな。
そう思って最後のひと口を飲んだときだった。
店のドアが勢いよく空いて、俺と健ちゃんは同時に目を向けた。
そして入ってきたのは、
「ハッピーバースデー!!」
両手に荷物を持って、フラフラになった岩ちゃんだった。
健ちゃんと目を合わせて、ひとつ確認を。
「え、健ちゃん誕生日?」
「いや、俺5月やし。隆二は?」
「俺9月。」
てことは…。
「オレだよオーレ、俺の誕生日!」
そういうことね。
「岩ちゃんおめでとう。」
「なんやもっと早く言うてくれたらケーキでも用意してやったのに。しゃーない、今日は隆二の奢りやな。」
「俺?健ちゃんじゃなくて?」
「ここ俺の店やぞ。なんで俺が奢らなあかんねん。」
「あそっか。じゃあサービスってことで、俺ももう一杯飲んじゃおっかな?」
「お前……ほんまお調子もんやな。岩ちゃんは?なにがええの?」
「俺はねぇー、なにがいいかなぁー……」
健ちゃんと話してる間に岩ちゃんは俺の隣に座ってカウンターテーブルでぐったりしてた。
よく見たら目は虚ろになってて、すげー酒くさい。
「岩ちゃんけっこう飲んできたっしょ。」
「うーん、そうだなー、なんかおいしいの。」
会話にならない。
1071人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くるみ(プロフ) - atokさん» atokさんお待たせしました。atokさん的にはおいしい展開になってきましたよ。あー、流されちゃう(笑) (2019年4月8日 20時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - 白雪さん» 白雪さーん!お待たせしました。やだ、白雪さんの怒りが爆発しちゃってますね(笑)どうしよう…この先ちょっと白雪さんの反応が怖いというか楽しみというか(笑)また待ってますよー。 (2019年4月8日 20時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - 名無し49962号さん» 名無し49962号さんお待たせしました。ドキドキしていただけて光栄です。なにかと切ない場面ばかりなので、そういった声を聴けて安心しました。こちらこそコメントありがとうございます。 (2019年4月8日 19時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - ねーやんさん» ねーやんさんお待たせしました。先の妄想はいかがですか?お話の内容と合ってたかな?(笑)優しい隆二だから……どう動くんでしょう(笑) (2019年4月8日 19時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - yuさん» yuさんお待たせしました。課長にイライラしちゃってます?(笑)ほんと言葉足らずな人で…糸は絡まるばかりです。そんな課長をどうぞこれからも見守ってあげてください。 (2019年4月8日 19時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:くるみ | 作成日時:2019年1月24日 23時