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お手洗いで歯磨きをして、メイク直しして。
休憩が終わる前に事務所に戻った。
サロンで打ち合わせをするスタッフが一人いるだけで、みんなお昼の時間で静かだった。
事務所にも誰もいないかも。
そう思ってドアを開けたら、案の定、静まり返ってた。
自分のデスクに行って椅子に座ったら。
「わっ…びっくりしたぁ。」
課長のデスクに、パソコンを閉じて机の上に突っ伏す人がいた。
それはもちろん登坂課長なんだけど。
普段お昼休憩に事務所にいることがない課長がここにいて、しかもデスクに伏せてることに驚き。
珍しいことがあるもんだ。
疲れてるのかなって勝手に想像して、しばらく眺めてた。
ぴくりともしない課長。
これ……爆睡してるよね。
そろそろ休憩終わるけど、起こした方がいいのかな。
物音を立てずに、そろりと近寄った。
「……課長?」
のぞき込んでみたら、顔だけこっちに向けてぐっすり眠ってる。
その表情は、なんだか苦しそうで、あれ?って違和感を感じた。
気持ちよさそうな寝息じゃなくて、わずかに開いた口から必死に空気を取り込んでるような呼吸。
よく見たら、おでこには汗が滲んでる。
「……臣?起きて?」
声をかけてもなんの反応もなくて、本気で様子がおかしい。
ほんのり赤くなったほっぺたを手の甲で触れば、かなり熱かった。
なにこれ、熱あるじゃん。
体調悪いのに無理して仕事に出てきたんだ。
そんなに仕事が大事なんだね、あなたには。
「…臣、起きれる?」
耳もとでちゃんと聞こえるように声をかけたら、臣は眉間を歪ませた。
「………さむっ…」
目を閉じたまま小さな声で呟くから、心配になっちゃう。
「熱あるんでしょ?もう帰ったほうがいいんじゃない?」
「………熱なんか……ねぇよ。」
「なに言ってんの。こんなに熱いのに。」
もう一度ほっぺたに触れた。
その瞬間、ゆっくりまぶたを上げた臣が、力なく私の手を握る。
その手までも熱い。
「……お前の手、つめてぇ。」
そう言って微笑む顔は気持ちよさそう。
「病院行く?私ついてくから。」
こんな顔見たら、何でもしてあげたくなっちゃうよ。
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くるみ(プロフ) - atokさん» atokさんお待たせしました。atokさん的にはおいしい展開になってきましたよ。あー、流されちゃう(笑) (2019年4月8日 20時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - 白雪さん» 白雪さーん!お待たせしました。やだ、白雪さんの怒りが爆発しちゃってますね(笑)どうしよう…この先ちょっと白雪さんの反応が怖いというか楽しみというか(笑)また待ってますよー。 (2019年4月8日 20時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - 名無し49962号さん» 名無し49962号さんお待たせしました。ドキドキしていただけて光栄です。なにかと切ない場面ばかりなので、そういった声を聴けて安心しました。こちらこそコメントありがとうございます。 (2019年4月8日 19時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - ねーやんさん» ねーやんさんお待たせしました。先の妄想はいかがですか?お話の内容と合ってたかな?(笑)優しい隆二だから……どう動くんでしょう(笑) (2019年4月8日 19時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - yuさん» yuさんお待たせしました。課長にイライラしちゃってます?(笑)ほんと言葉足らずな人で…糸は絡まるばかりです。そんな課長をどうぞこれからも見守ってあげてください。 (2019年4月8日 19時) (レス) id: b2014868ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くるみ | 作成日時:2019年1月24日 23時