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拉致 ページ7

ヨコハマの大通りにて

「広いな〜、人も多いし。 全然見つからないよ」

「そうだね」

  男子を探す旅に出てから早三十分。 居ない!

「電話かける?」

「そうだね、電話かけよっか」

  プライベート用の携帯電話を取りだし、大通りから少し外れた路地裏へ入った瞬間だった。

「う゛っ!?」

  頭に強い衝撃が。 しまった、油断をしていた。 ヨコハマの路地裏の危険性は一番よく解っているはずなのに、私が居れば大丈夫だと・・・。

「あか、りさん」

  黒く塗りつぶされていく意識の中、最後に確認したのは朱莉さんの倒れる姿、そして

「A様、済みません、済みません」

  ケヱキ屋の夢を叶え、足を洗ったはずの例の元部下だった。





「っ」

  冷たいコンクリートの感触と、火薬の匂いで意識が戻った。

「あら、起きたのねぇ? ポートマフィアの氷木Aちゃん!」

  目の前に私を見下ろす山本むつみの姿。 長時間コンクリートに転がされていたのか、身体の節々が痛い。

「っ〜!」

「なんて言ってるの? あら、ごめんなさいねぇ? 猿轡、してたんだったぁ!」

  食いしばる歯が痛い。 必死に手を動かそうとするが、手錠がかけられているようで、動かすことができない。

「あら、睨んじゃってこわぁぃ! 貴女の命、私が預かっていることを忘れないでね?」

  私一人の命くらいどうってことないし、此の世界に入ったときに覚悟はしている。 でも

「嗚呼、学級委員長さんは貴女の巻き添え。 こんな娘の命、私はどうだって良いけどね!」

高笑いをするターゲットに殺意が湧く。 朱莉さんを巻き添えにするなんて、許さない。

手をキツく握り締め、異能を発動させようと試みる。

「っ〜!」

治のように異能を常に発動している状態ならよかったのに。 私の異能は肝心なときに役立たずだ。

お願い、神さま。 今だけ、善良な一人の女の子を助けてあげて。 私の命なんてどうでも良い。 朱莉さんは、助けてあげて。




助けて




中也 治

反撃のためのカードは、何にせよ残しておくべきだよ→←貴女は知っているのかな



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なすび(プロフ) - りとのおへやさん» 有難うございます!  これからもそう言っていただけるよう、頑張りますね! (2019年6月2日 21時) (レス) id: 6cdc79c834 (このIDを非表示/違反報告)
りとのおへや(プロフ) - めちゃめちゃ良かったです!中也オチマジで神!!!本当に、こんな神作品を読ませていただけて感謝しかないです! (2019年6月2日 20時) (レス) id: 534e38ce7a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なすび | 作成日時:2019年1月30日 21時

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