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第55話 呼び出しの真意 ページ8

 
 
「アナタ、ちょっと良いかしら?」

 
ひとらんさん達との顔合わせを終え、次の日。
エーミールさんの授業へと急いでいると、後ろから声をかけられた。
そこに居たのは、この城のメイド数名で、声の主は一番貫禄のある大きな一対の蝙蝠羽を携えた褐色肌の魔族(ひと)らしい。

...一対多数、嫌な予感がするなぁ。

『はい。何か御用でしょうか?』
「お願いしたい事があるの。付いて来てくれない?」
『申し訳ありませんが、これから幹部様の所に行かなければならないので。それは出来かねます』
「なら、其方には私から伝えておくわ。兎に角、来てちょうだい」

メイドの一人が、私の腕を掴む。魔族らしい鋭い爪が少し食い込み傷んだ。
痛みから引き剥がそうと腕を引いた時、私の視界に緑色の影が映る。

 

zm「おい、何してん。お前ら」
『ゾムさん...!』
「ぞ、ゾム様!?」
「これは、お早う御座います。ゾム様」

急に現れたゾムさんは、前に見た蛇の下半身ではなく人間の様な二本足で私とメイド達の間に現れた。
腕を掴んでいたメイドさんは彼に一礼をし、後ろにいた他のメイド達も同じ様に頭を下げる。
ゾムさんは、まだ掴まれている腕を見て口を開いた。

zm「ソイツはお前らより弱いけど、我が国書記長トントンの正式な補佐やねんぞ。その扱いは、トントンへの扱いと同義と思うけどええんか?」

フードの隙間から見えた冷たい視線が、メイド達へと向けられる。
後ろのメイドさん達が縮こまる中、腕を掴んだメイドさんは臆せず彼と目を合わせた。

...この魔族(ひと)、コッチで言うお局様かな。
なら、意見変えたりしなそうだけど...。

前の職場を思い出し、思わず眉を顰める。
メイドさんはその内、ゆっくりと私から手を離した。

 

 
そして、跪く。

「申し訳御座いませんでした。A様」
『...えっ?』
「私は妹弟や子供がいない為、幼子の扱い方が分からないのです。もし、痛い思いや怖い思いをさせてしまったのなら、此処に謝罪致します」

そう言って、彼女はまた深く頭を下げた。
後ろのメイド達も、それに倣い跪いていく。
その動作に一片の迷いもなく、間に入ったゾムさんも想像していなかったのかポカンとしていた。

「A様には、頼み事があってお声掛けさせて頂いたのです。不安なら、ゾム様監視下でも構いません。私共めに、お時間を割いては頂けませんか?」
『頼み事、ですか...?』
「はい」

彼女は顔を上げ、私の目を真っ直ぐ見た。
 

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作品ジャンル:恋愛
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まる(プロフ) - やっぱり“なる”様だったんですね、最初の直感当たってたの嬉しww 魔王も神も、u先やネタに関しても、来斗牙様の作品は伏線が分かりやすい上に、パッと分からなかった伏線もすぐ回収してくださる為ストレス無く楽しめています。更新、楽しみにしております! (10月13日 14時) (レス) @page43 id: dba6e6f19e (このIDを非表示/違反報告)
mii(プロフ) - お久しぶりの更新、とても嬉しいです!アレ…魂の…ランタン…?まさかダンジョn(( (2023年4月1日 11時) (レス) @page43 id: 2d3cfb07c5 (このIDを非表示/違反報告)
sugeeee - 世界観がとてもかっこいいです!…外の神と魔王が全く分かりません……。 (2023年3月10日 14時) (レス) @page38 id: 1906228508 (このIDを非表示/違反報告)
トめAと@カド松(プロフ) - 外の神と魔王が察せる件について (2022年12月1日 21時) (レス) @page41 id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)
ナイトジャー(プロフ) - 久しぶりにきたら投稿されててこれまた内容が素晴らしくて色々大変です(語彙力無)peさんとsnさんの掛け合いとか本当にありそうですもんね…。ネタのぶっこみ方が本当に尊敬します。 (2022年11月12日 20時) (レス) id: 8b9e251ed3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:来斗牙 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年12月7日 15時

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