第61話 若いんだからさ ページ14
side tonton
書類仕事を終え、予めAさんに容れてもらった茶を啜り、一息をつく。
tn「...ふぅ、落ち着きますわぁ...」
因みに、このお茶はひとらんが持ち帰ってきた物の一つで“緑茶”というらしい。
苦味があるが気にならない程度だし、何しろ嫁さんが入れてくれたという事実だけで、何杯でもイケる。
tn「覚える事沢山あるのに、ホンマ優しい人やなぁ。あ、今訓練場におるかな?」
ふと、そう思い立った俺は窓からこっそりと訓練場を覗いた。
いつも通り活気のある訓練場の片隅に、Aさんの姿を見つける。
tn「あの一帯だけ雪降っとんな、粉雪か?
それに、雪を見ながら飲む温かい茶も、なかなかいい物だ。
そう感じながら俺はまた茶を啜った。
_____________
おらふくんが指を鳴らした後、私達の周りにだけ粉雪が降り始める。
暫くすると、粉雪の一部分が収縮していき、段々と雪だるまの形になっていった。やがて、帽子やマフラーまで着け始めた雪だるまは、黒い瞳をぱちくりと瞬きさせる。
「すー!」
ng「わぁ〜!可愛い!」
or「でっしょー!僕の使い魔です!さっそく、力貸してもらうね?」
おらふくんが雪だるまに話しかけると、またその子は「すー!」と一鳴きして飛び上がった。真ん丸な両手から冷気のようなものを出し、ソレを地面へと放つ。
すると、数秒もしない内に地面は景色が反射する程凍っていた。
...凄い、こういうタイプの使い魔もいるんだ。
感心していると、雪だるまは役目を終えた事からか、また粉雪になって消えていった。
or「完成ーー!コレでスケート出来ますね〜」
bn「スケートとか、何年ぶりかなぁ?懐かし過ぎて怖、うぉおわぁっ!?!?」
ドンッ!
スルスルと滑り始めるおらふくんの近くで、ぼんさんは綺麗にすっ転んで背中を打ち付ける。身体をプルプルと震えさせ、まるで海老のようだった。
...うん、今のは痛い。
まだ凍っていない地面からしゃがんで手を伸ばし、彼の上着を掴んで引っ張っていく。
『ぼんさん、大丈夫ですか...?』
ng「なんか、とても転び方が綺麗でしたね...」
bn「し、死んだかと思った...いや腰やってたらほぼ死んでたけど」
or「も〜、何やってんすかぼんさん。体幹弱いっすねぇ、若いんやから頑張らんと!」
bn「いやほぼ嫌味よソレ...追い討ちなのよ...」
何のズレもなく氷の上に静止したおらふくんに、ぼんさんは寝たままボヤいたのだった。
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まる(プロフ) - やっぱり“なる”様だったんですね、最初の直感当たってたの嬉しww 魔王も神も、u先やネタに関しても、来斗牙様の作品は伏線が分かりやすい上に、パッと分からなかった伏線もすぐ回収してくださる為ストレス無く楽しめています。更新、楽しみにしております! (10月13日 14時) (レス) @page43 id: dba6e6f19e (このIDを非表示/違反報告)
mii(プロフ) - お久しぶりの更新、とても嬉しいです!アレ…魂の…ランタン…?まさかダンジョn(( (2023年4月1日 11時) (レス) @page43 id: 2d3cfb07c5 (このIDを非表示/違反報告)
sugeeee - 世界観がとてもかっこいいです!…外の神と魔王が全く分かりません……。 (2023年3月10日 14時) (レス) @page38 id: 1906228508 (このIDを非表示/違反報告)
トめAと@カド松(プロフ) - 外の神と魔王が察せる件について (2022年12月1日 21時) (レス) @page41 id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)
ナイトジャー(プロフ) - 久しぶりにきたら投稿されててこれまた内容が素晴らしくて色々大変です(語彙力無)peさんとsnさんの掛け合いとか本当にありそうですもんね…。ネタのぶっこみ方が本当に尊敬します。 (2022年11月12日 20時) (レス) id: 8b9e251ed3 (このIDを非表示/違反報告)
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