第９話 初視察前 ページ10
『城下町に、ですか？』
tn「お、おん。もし良ければAさんも、どうかなって思うんですけど...」
一日分の書類仕事が片付いた後、私はトントンさんからそんな申し出を受けていた。
何処か緊張した様子の彼は、そのつぶらな瞳をあちこちに彷徨わせている。
城下町...視察か何かかな？
でも私、護衛にはならないと思うけれど...。
『あの、何か人間が必要な任務でもあるんですか？』
tn「うぇっ！？い、いやそういうのじゃーないって言うかぁ...」
『え、違うんですか？ならどうして...』
私が質問していると、トントンさんは眉間に皺を寄せてうーんと唸り始める。心做しか、汗もそこそこ凄い。
近くにあったタオルを差し出すと、彼は一言お礼を告げて顔を拭い始めた。
tn「えーっと、えーーーっと...ハッ！そ、そう！Aさん、エミさんから魔界の通貨について最近学んだんですよね？」
『えっ、あっはい、ここ一週間はそうですね。それが何か...？』
急に変わった話題に返答すると、彼は先程よりも幾分か落ち着いた様子で口を開く。
tn「なら、実践してみません？」
『実践？』
tn「はい。やっぱり、通貨とかって実際に買い物とかした方が覚えられるやないですか。城下町にはホンマに色んな店がありますし、物価とかも分かると思うんで」
「どうや！？」と、言いたげな雰囲気を醸し出すトントンさんに、私は少し考え込む。
確かに、此処は社食がタダ。
勉強に使う教材も、書庫から借りた物。
筆記用具は書記長室に大量に余っている。
つまり、此処二ヶ月間、私はまっっっっったくと言って良い程金銭類を使用していないのだ。
...これヤバイな。堕落生活まっしぐらじゃん。
トントンさんの言う通り、国の物価すら自分の目で見ていないのは問題がある。
『...そうですね。思えば、テスト以降じっくりと城下町を見る機会もありませんでしたし。御迷惑で無ければ』
tn「全っ然迷惑ちゃいますっ！！」
『おぉっ...そ、そうですか。なら、是非お供させて頂きたいです』
そう答えると、トントンさんはパァッと笑顔になり、垂れた耳をパタパタと動かし始めた。
...うん、可愛いなぁこの上司。
多分、“デッカワイイ”ってこの事を言うんだろう。
tn「じ、じゃあ明後日！一緒に見て回りましょ！約束や！」
『はい。よろしくお願いします』
私はトントンさんと指切りをした。
...こっちにも指切りの文化あるんだなぁ。
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つばき - 沼…決定的成功……探索者………なるほど？？？？大好きです！！！！！！！(大声) (2021年11月23日 23時) (
レス) @page45 id: f38a77f071 (このIDを非表示/違反報告)
毎日たこ焼き - ロリ妻…ｸﾞﾌｯｯｯ (2021年11月17日 20時) (レス) @page43 id: d89fb8bcc6 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - 俳優の…さん何処いっちゃった…え…あの人…とソワソワしております！ (2021年10月28日 22時) (レス) @page36 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
ソノ - 面白そうだと思ったら、くるとがさんだとは…、読ませていただきます！ (2021年10月19日 13時) (レス) id: 24deaf33a5 (このIDを非表示/違反報告)
夢屋(プロフ) - ド|ズ|ル|社の皆さんが登場するとか聞いてません。本当最高です 。有難う御座います。 (2021年10月18日 23時) (レス) @page29 id: 6a562a9c6a (このIDを非表示/違反報告)
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