≪ホラー≫苦いイチゴ(蟲師イメージして) ページ28
苦いイチゴがある…
そううわさに聞いたイチゴを友人からもらい受けた
苦くてとても食べる気にはなれない
加工して食べようと思ったが
砂糖を入れてもミルクに混ぜても
けして甘くはならなかった
私はそのイチゴを食べることなく
保管しておいた
しかし、苦いイチゴを譲った友人は
謎の病で死んだ。
その日以来イチゴはどんどん大きくなっていった
成熟しているそのイチゴはもうそれ以上大きくなることがないと思っていた
そして、体が重くなってきた
重く重くなった体は鉛のようで
ついに床に伏してしまった
数週間後、そういうたぐいに詳しいものがやってきた
てっきり男かと思いきや、女だという
女に、俺に起こったことを話すと
少し驚いた様子で話し始めた
「それは、ただのイチゴなんかじゃない
信じないかもしれないが、この世のものではないのだ
擬態している妖怪みたいなものさ」
女の話は簡単には信じられなかった
「栄養を友人から吸い取っていた
栄養を吸い取ることは、生気を吸い取る
つまり、命を吸ってることと同じ
そして、友人は死んだ
あんたもいずれその友人と同じことになるよ」
「じゃあ 俺はどうすればいいんだ…？」
「ほかの人に渡すことはダメだ
またこのような事態が繰り返される
まずはそれを焼くことだ」
男のようにしゃべる彼女には先ほどのような疑わしく思うことはなく
自然とその言葉を信用していった
「それを貸してくれ」
「ああ」
よく見るとこの前身便りも大きくなっており
少しながらイチゴのように思えなくなった
「…あと少し遅れてたら死んでたな あんた」
女は火の中にそれを投げた
その瞬間、つんざくような悲鳴が聞こえた
「これは…」
「この声はこいつの声さ
うるさい奴だ…」
そして残ったのは灰だけだった
「まだ完全にこいつが死んだわけじゃない…ここか」
灰をひとつまみするとそれを小さなビンの中にいれた
「もう…俺は平気なのか…？」
「ああ まだ寝てろよ？
すぐに良くなるわけじゃない
三日たてば、よくなる
それまでゆっくり休むんだな」
そういうと女は出ていこうとする
お礼をといったが、この灰だけでいいと
家を後にした
三日たてば、鉛のように重かった体は軽くなり
それ以来苦いイチゴの話も不思議なことも
あの女の人も見かけることはなかった
蟲師イメージしました(文字数限界)
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