【HQ】馴染まなかった幼馴染【及川】

49.ＤＯＧＥＺＡ☆ ページ49

Aｓｉｄｅ




やらかした。




覚醒する頭で一番に思ったことがそれである。

先ほどよりすっきりした頭が罪悪感を更に増幅させた。




そうやって顔を真っ青にさせながらベッドでのたうち回っている時、足音が近づいてくることに気付く。

迷いなく開けられたカーテンに少々ビビりながら開けた人を確認すると顔馴染みの養護教諭だった。



「あ、起きていたのね。これ、先刻クラスの子が持ってきてくれたわよ」



そう言ってスクバと体操着袋をコーナーに置いてくれる先生。

後でクラスの子にもお礼を言わなければ。

そう思っている時、養護教諭の背後から大きな影が見えた。



「具合どーお？」



それは先ほども迷惑をかけた男の子で。

私は条件反射でベッドの上で土下座する。



「ごっっっめん！及川君！」



あまりのスピードに驚いた及川君が慌てて私に駆けよった。



「いや、別に大丈夫だから」



いつの間にか居なくなった養護教諭に気付いてか、及川君はカーテンを閉めてベッドに腰を掛ける。




「具合は？」

「うん、気分も良くなった」

「そう――――はぁ」



私が返事してすぐ、及川君はため息を吐いた。



「正直、少し怒っているからね」

「え？」



少し眉根を寄せ、怒りと安心で複雑になった顔がこちらを向く。

しかも少し顔を寄せてくる。

端正な顔が近づくと無条件で人間は緊張してしまうのではないだろうか。


「俺注意したじゃん。駅で」


その一言に過去に思考が引き摺り戻される。





『…なんか今日隈ひどくない…？』

『あー、バレた？模試が近くてさ…。今本気出してる』

『やっぱりー？駄目だよ、女の子なんだからお肌荒れちゃう』

『はーい、ママ』

『ままじゃないわよ！お母様とお呼び！』



そうだ。彼は私の体調が良くないことに気付いて注意をしてくれたではないか。

しかも、私が隠さないようにおふざけを入れてまで注意してくれたのに、私は何一つ気にかけず、少し体がだるいな。程度にしか理解していなかったのだ。



「これからは体調管理、しっかりね」

「…うん」



私が笑顔で返事をすると、及川君は満足したのかすっごく優しい顔でよろしいと言わんばかりに頭を撫でてくる。

その感触が懐かしくて、心地よくて、あぁ、私これ好きだなと思った。




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お久しぶりです。結城です。
あの、もう随分前なのですが、私の中で完結してるので投稿させて頂きます！
ほんとーに、お久しぶりです！

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