47.ごめんなさい ページ47
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頭がぐらぐらする。
及川君は私を抱き上げているにも関わらず、私に一切目を向けなかった。
それが寂しい。
目が合わないのも嫌で嫌で。
体育館から出たら野次を飛ばす人なんて誰もいないのに、体育館に居る時よりも降りたいほしいという気持ちが強くなった。
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こんな事なら降ろしてほしいと思って足をばたつかせ続ける。
「あーもう、しつこい！抱えづらい！」
動く私が気に食わないのか、腕の締め付けが強くなる。
あ、無理だ動けない。
「ほら」
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私は景色すら目に入らなかった様で、及川君の一言で今保健室に居ることを知った。
誰もいない保健室。
きっと養護教諭は校庭や体育館の怪我人にてんてこ舞いなのだろう。
及川君が私を奥のベッドに降ろしはじめる。
あくまでもゆっくりと。
彼のモーションは不安一つなく私をベッドに降ろした。
重い体が心地よいクッションに沈んでいく。
日の当たらないこの部屋のベッドは冷たくて気持ちが良かった。
「絶対に寝てろよ」
及川君が少し眉尻を上げて話しかけてきた。
私を見返りながら言う言葉の語気は強い。
彼はそのまま扉へ向かってしまった。
それはそうだ。
三年最後の球技大会。
その貴重な時間を顔馴染みでしかない私に割かせてしまった。
(迷惑…かけちゃった)
しかも特大級の。
体の重さが助太刀して自己嫌悪がどんどん進む。
瞼もだんだんに重くなり、音がどんどん遠くなる。
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「ストップ」
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その静かな声と共に、頬に少し湿った物が押し付けられた。
「寝る前に水飲んで」
押し付けられたのはパックのジュースで、目の前に居るのは先ほど出て行った及川君。
「ほら飲む」
口まで無理矢理運ばれたジュースに口をつ付ける。
疲れた体に甘い物が染みていく。
しかもこれ、私が好きなジュース…。
飲み終わると彼は再度私を寝かせ、私の瞼の上に手を翳した。
「寝なよ。体調悪かったんでしょ」
「…いつ気付いたの？」
「前電車で会った時」
私ですら気付かなかった体調不良を、彼は見抜いていた。
それが少しくすぐったくて、やっぱり幼馴染はいいな。と場違いな事を考えてしまう。
「もう寝な。Aちゃんは頑張りすぎ」
その言葉と手の心地よい温度で、私は眠りに落ちた。
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結城(プロフ) - 甘露寺さん» 甘露寺様：初めまして！ここまで読んで下さってありがとうございました。またこんな古い夢小説を見つけてくれてありがとうございました。また少しずつですが再開し始めましたので、お付き合い頂けたら幸いです(*^▽^*) (2020年5月23日 0時) (
レス) id: ef38ccb588 (このIDを非表示/違反報告)
甘露寺 - 気になるところで止まっておるー更新して下さーい(土下座) (2020年5月5日 2時) (レス) id: 952a700b40 (このIDを非表示/違反報告)
結城(プロフ) - 美月さん» 美月様:初めまして！お気に入り登録ありがとうございます。面白いと言っていただけて本当に嬉しいです(*´▽｀*)更新がのろまですが、これからも頑張っていきますのでよろしくお願いいたします<m(__)m> (2018年8月22日 0時) (レス) id: 9a4bc7de57 (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - とても面白かったです!! お気に入りさせて頂きました！応援してます！ (2018年8月20日 23時) (レス) id: 0d411ab85a (このIDを非表示/違反報告)
結城(プロフ) - 明佳さん» 初めまして。この度はご指摘ありがとうございました。設定頁更新しましたので確認をお願い致します。 (2018年6月14日 18時) (レス) id: 9a4bc7de57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：結城 | 作成日時：2018年3月27日 22時
