31.試合 ページ31
Aside
みっちり練習に励んでいたからか、インハイ一次予選はあっという間に訪れた。
毎日の弓具の持ち帰は大変だったが、何週間か続ければ電車の隅で弓具を持ちながら単語帳や教本を読む事に慣れた自分がいる。
去年は団体戦にもエントリーしていたが今年はしていないため、団体戦上位10校を決める試合の後に行われる個人エントリーの立ちまで相当時間があった。
部員が少ないのが連盟にバレているのか、看的板(あたりはずれを示す○×の得点板)や、矢取り
(刺さった矢を一立ち毎に抜く係)などの係にも充てられないため本当に暇だ。
勿論、開会式後にゴム弓や巻き藁など最終調整は行うが、それでもやっぱり暇だ。
引きすぎれば試合に響くが、温存しすぎると試合で体がガチゴチになる。
引き際が難しい競技だ。
私たちは団体一回戦の後に一立なので、正午を少し過ぎるくらいに召集がかかるだろう。
そう思って部員たちとストレッチをしている時スマホが揺れた。
休日の10時頃、みんなまだ寝ているだろう時間にメッセージなど、珍しい。
スマホを開くと、そこには"及川 徹"と記されていた。
『予選頑張れ』
確か及川君も今日一次予選のはずだ。
忙しい合間を縫って、この様に応援メッセージをくれる。
その事が本当に嬉しかった。
『及川君も』
私も短い文を打ってスマホをリュックに放り投げる。
画面から離した目には青空が余計に青く感じた。
「絶対勝つぞー!!!」
「うるせぇ」
スッパコーン。
いきなり叫びだした私に同輩の美優から頭をたたくという少し刺激的なツッコミがはいる。
「ツッコミいただきましたー」
「わかったから、後輩見てるからマジやめて」
そう言って美優は私の襟首を掴んで荷物置き場に引き摺って行った。
もう少し私の扱い良くしないかい美優さん。
私たちの様子に後輩の何人かがくすくすと楽しそうに笑っている。
2年の琴葉ちゃんも緊張が解けたようだ。よかった。
…
……
………
快晴の所為でどんどん上がる気温。
私たちの一立目が始まる頃には汗ばむほどだった。
もうすぐ入場、控えに居る時私は後ろを振り向いた。
矢を持っている手でぐーを作って後ろの2人に目配せをする。
そうすると2人とも右手を出してきた。
「楽しむよ」
「「おー!」」
小声で合図を出す。
部長として、一番手として、皆に流れを作って見せる。
そう思いながら私は射場に足を滑らせた。
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結城(プロフ) - 甘露寺さん» 甘露寺様:初めまして!ここまで読んで下さってありがとうございました。またこんな古い夢小説を見つけてくれてありがとうございました。また少しずつですが再開し始めましたので、お付き合い頂けたら幸いです(*^▽^*) (2020年5月23日 0時) (レス) id: ef38ccb588 (このIDを非表示/違反報告)
甘露寺 - 気になるところで止まっておるー更新して下さーい(土下座) (2020年5月5日 2時) (レス) id: 952a700b40 (このIDを非表示/違反報告)
結城(プロフ) - 美月さん» 美月様:初めまして!お気に入り登録ありがとうございます。面白いと言っていただけて本当に嬉しいです(*´▽`*)更新がのろまですが、これからも頑張っていきますのでよろしくお願いいたします<m(__)m> (2018年8月22日 0時) (レス) id: 9a4bc7de57 (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - とても面白かったです!! お気に入りさせて頂きました!応援してます! (2018年8月20日 23時) (レス) id: 0d411ab85a (このIDを非表示/違反報告)
結城(プロフ) - 明佳さん» 初めまして。この度はご指摘ありがとうございました。設定頁更新しましたので確認をお願い致します。 (2018年6月14日 18時) (レス) id: 9a4bc7de57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:結城 | 作成日時:2018年3月27日 22時