66.刺さりました〜岩泉side〜 ページ19
〜岩泉side〜
膝から崩れ落ちたAに駆け寄ると、その顔は茹でダコまんまで。
急に明るい所に出たからか、もしかして本当にプールが嫌だったのか。
それとも今日体調が悪かったのか。
どの理由になろうとも、気付けなかったのが悔しいし、配慮が足りな過ぎた自分に怒りが湧いてくる。
とにかく頭を打たないように腕だけでも支えると、どこかに休めそうな所は無いかと頭を回した。
頭の端で経路を浮かべながら、体調や気分を聞いたが「違くて…」という弱弱しい声しか返ってこない。
崩れた今もなお誤魔化そうとしているのか、自然とそうなっているのか分からないが、俺を頼りにしない事に再度自分が情けなくなる。
本格的に移動しようと救護室の場所を確認しに走り出そうとした時、先ほど掴んでいた手とは反対の腕を引かれた。
くっと下がる上半身に気付いて後ろを振り向くと、真っ赤な顔を片手で隠しているA。
その小さな掌で隠しきれていない唇が細かく震えていることに気付いて、俺は目線を合わせながら言葉を待った。
「か」
「か？」
.
何を伝えようとしてくれているのだろうか。
周りの子供の声にかき消されないように、俺はAの音に耳を澄ませた。
どんどんと聴覚が鋭くなっていくのが分かる。
どんな言葉が発せられるのか。
少し緊張しながらその時を待つ。
.
「かっこよすぎて…」
.
言葉がサクッと額に刺さった気がする。
文字の意味が瞬時に理解できなくて、まじまじとAの顔を覗き込んだ。
.
掌で隠された目元。
その指先から零れた瞳は水あめの様に艶やかで、一瞬時間が止まったように感じた。
(今こいつ何つった？)
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ここまで読んで下さってありがとうございました！
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白米 - 夢主ちゃんの初々しさが可愛すぎて、岩泉くんがイケメンすぎて、キュンキュンが止まらないです! 言葉選びもとっても素敵で好きが溢れ出します! (2023年1月28日 13時) (
レス) @page21 id: c47ed55b6d (このIDを非表示/違反報告)
あおい亜緒(プロフ) - 素敵すぎます、更新待ってます＾＾ (2021年11月29日 7時) (レス) @page5 id: 4763f9e9c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：結城 | 作成日時：2021年10月3日 23時
