北米神話大戦 序(6) ページ17
命中し、アルジュナの動きが止まる。
「ぐっ……!」
「物理で殴るだけが戦いじゃないさ、そうだろ?クー·フーリン」
「それには、同意するぜ!軍師殿!さぁ!その心臓!この俺が貰い受ける!!」
紅い一閃。…あのバーサーカーのクー·フーリンが見せた禍々しい一閃とは違う、紅く鋭き神速の一閃。
アルジュナはその一撃で倒れた。
「…終わったか」
「お疲れさん!」
マスターがジークフリートに抱えられながらやって来る。
ズレた眼鏡を直し、近くの石に腰掛けた。
「マスター…次はもう少し作戦を練ってから、戦闘開始してくれ」
と、1人煙草を吹かしながらボヤいた。
「落ち着いたか?」
「気が済みましたか?」
と、ラーマと婦長。何処か吹っ切れた顔でアルジュナは、
「ええ。とても。わざわざ自己満足に付き合って下さってありがとうございます。それと…クー·フーリン。心臓では無く、鳩尾を狙ってくれた事も感謝します」
「おう。マスターからは、殺せとは命令されてないからな」
と、クーが笑う。すると、マシュが、
「アルジュナさん…その、宜しければ我々に力を貸してはくれませんか?」
と、問うと、アルジュナは少し残念そうに、
「…すみません。そういう訳にはいきません。手を貸したいのは山々なのですが…ですが、私のした事への償いはします。必ず。信じてくださいますか?」
と、マシュを見て私を見る。
「分かった、信じよう」
と、言うとフッと一瞬微笑み、
「………貴女の言葉は虚ろな心によく響きますね。では、さよなら」
と、消えていった。
「アルジュナ…あやつは一体…」
「彼は、彼なりに気持ちの整理をつけたということです。彼は他者が思うほど誠実ではなく、己が思うほど邪悪でもない。生前はさぞ息苦しかったでしょう」
と、婦長が言う。立香先輩が不思議そうに、
「理想の英雄って言われるの辛かったのかな?」
その問いにエミヤが、答える。
「理想は、時に己や他者の首を絞める。覚えておくがいい、マスター。強すぎる理想ほど、綺麗すぎる理想ほど、息の詰まるモノはない」
婦長が其れに頷く。
「ええ、そうです。彼は、誰かの理想…誰かに何かを決めつけられて生きて来たのですから」
『あぁ…成程。やり直したかったんだろうね。あの日、あの瞬間から、彼は終生の後悔を抱いていたんだろうね』
と、ドクター。仕切り直すように、ラーマが、
「さぁ、ワシントンまで直ぐだ。行くぞ!」
と、言った。
164人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星空部長(プロフ) - ナカユ@キーリアさん» ありがとうございます!楽しみにしてます♪ (2018年5月13日 22時) (レス) id: 78599fa8a8 (このIDを非表示/違反報告)
ナカユ@キーリア(プロフ) - 星空部長さん» コメントありがとうございます!オルタニキの所で殲滅ルートは考えていませんでしたwもしかしたら、解説コーナーでも作って大体こんな感じということを開設したいと思っていますので、その時にお答えします (2018年5月13日 22時) (レス) id: bce607513b (このIDを非表示/違反報告)
星空部長(プロフ) - オルタニキの所で夢主以外殲滅されたらどうなってたのでしょうね…更新ファイトです! (2018年4月15日 20時) (レス) id: 78599fa8a8 (このIDを非表示/違反報告)
ロール(プロフ) - ナカユ@キーリアさん» ありがとうございます!申し込みしました!承認お願いします (2018年1月26日 23時) (レス) id: ee26429b75 (このIDを非表示/違反報告)
ナカユ@キーリア(プロフ) - ロールさん» お待たせしました!フレンド枠が空いたので、フレンドになりましょう!よろしくお願いします!m(_ _)m (2018年1月26日 19時) (レス) id: d675145964 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:キーリア | 作成日時:2017年7月29日 15時