北米神話大戦 急(2) ページ24
「貴方は病気です。自刃か、敗北する事をオススメします」
と、さらに婦長は続ける。
今度は苦虫を噛み潰した顔になり、
「オレも大概だが、お前も静かに狂っているな。言ってる事が無茶苦茶だが?」
「ーーーーー愉悦を抱けない。自らを檻に閉じ込め、代わりに"王"という機構に体を譲り渡す」
「黙りなさい」
メイヴが婦長に鞭を威嚇する様に向ける。だが、なおも続ける。
「愉悦を感じないが故に自動的、機械的に戦える。そうしなければ、王であり続ける事が出来ない。たとえ…仄かに抱いた執着でさえも廃棄しなければならない」
「黙れって言っているでしょう!!」
静かに、クー·フーリンは口を開く。
「見てきたような口ぶりだな。何だ、お前。前世で関係があったか?」
「いいえ、見てきたのではありません。何故なら、前世の私自身がそういう在り方でしたので。私はただ純粋な治療機械であれば良かった。それでも、私は構わない。私は鉄の体で、鉄の意思で、世界に広めたかっただけ」
「……」
「治療されるという希望を、快癒する歓喜を。その目的の為に全てを擲ってきました。だが、後悔はしていない。ーーーーー問いましょう。蛮族の王よ。この支配に必要性があるのですか?未来への展望は?行き着く先は?」
「さてな」
「無いでしょう。それは、重度の火傷と等しい所業。だからーーーーー私は貴方と違う。私の血は夢の為熱く滾る。貴方の血は野望のため冷たく濁る。それは、病です。だから、クー·フーリン。私に治療させなさい。私は貴方を殺してでも、私が死んでも、貴方を治療しなければならない」
「…話はそれで終わりか?突拍子が無さすぎて、つい聞き入っちまった。病か。成程、言い得て妙だ。オレは傷や呪いには慣れていたがーーーーー病気には罹った事なんてなかった。目から鱗だ、鉄の女。そうか、カルデアのマスターお前に執着するのも一種の病気か。この、どうしようもねぇ倦怠感は病気ってやつか。傷を癒し、血を清めれば治るかもしれねぇ。だが、有り得ない。お前も、よーくご存知の筈だろ。不治の病ってのがこの世にはあるんだろ?」
「ーーーーーッ!」
「さて、長くなったな。じゃあ、おっぱじめようか」
「………行くわよ!クーちゃん!」
その声と共に、槍が飛んでくる。
間一髪婦長にあたる前に、マシュが盾で防ぐ。
その時だった。鎖が彼を拘束した。
「クーちゃん!?」
「つまらん。おい、駄犬。貴様、とてつもなくつまらない奴になったな」
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星空部長(プロフ) - ナカユ@キーリアさん» ありがとうございます!楽しみにしてます♪ (2018年5月13日 22時) (レス) id: 78599fa8a8 (このIDを非表示/違反報告)
ナカユ@キーリア(プロフ) - 星空部長さん» コメントありがとうございます!オルタニキの所で殲滅ルートは考えていませんでしたwもしかしたら、解説コーナーでも作って大体こんな感じということを開設したいと思っていますので、その時にお答えします (2018年5月13日 22時) (レス) id: bce607513b (このIDを非表示/違反報告)
星空部長(プロフ) - オルタニキの所で夢主以外殲滅されたらどうなってたのでしょうね…更新ファイトです! (2018年4月15日 20時) (レス) id: 78599fa8a8 (このIDを非表示/違反報告)
ロール(プロフ) - ナカユ@キーリアさん» ありがとうございます!申し込みしました!承認お願いします (2018年1月26日 23時) (レス) id: ee26429b75 (このIDを非表示/違反報告)
ナカユ@キーリア(プロフ) - ロールさん» お待たせしました!フレンド枠が空いたので、フレンドになりましょう!よろしくお願いします!m(_ _)m (2018年1月26日 19時) (レス) id: d675145964 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キーリア | 作成日時:2017年7月29日 15時