Unsung Hero Part3

北米神話大戦 序(4) ページ15

呆然と、消えていくバーサーカーのクー·フーリンを見ていると、ラーマがいきなり戦意喪失していたアルジュナに斬りかかった。

｢マスター！アルジュナを仕留めるのはこの機しかない！指示を！｣

｢………っ！！｣

アルジュナは、咄嗟に弓で防ぐ。更に斬りかかろうとすると、婦長がそれを遮る。

｢ナイチンゲール！？｣

｢アルジュナ。治療を受ける気はありますか？｣

｢治療？私が何を病んでいると言うのです｣

と、婦長を睨みつける。婦長は何処吹く風で続ける。

｢カルナはサーヴァントであろうとした。ただそれだけです。第二の生を受けた英雄であろうとしていても、貴方はサーヴァントであろうとしていない。我々はどちらもつかぬ存在です。我欲がある一方で、与えられた使命がある。あの一瞬、カルナはサーヴァントに立ち戻り、クー·フーリンを止めることが勝利に繋がると信じた。それは、貴方の……執着にも近い妄執に付き合う事よりも、正しいと信じたのです｣

婦長の言葉に、信じられないといった顔で、

｢妄執−−−ですと？この私の積年の想いが！！妄執だと！？貴女に分かってたまるものか！！！｣

と、言い返す。ラーマや、他の皆慌ててが婦長を止めに入る。だが、婦長は続ける。

｢−妄執です。後悔は先に立たず、放つべきでは無い矢を放って宿敵を倒した貴方はｰｰｰｰｰ生涯を後悔と共に添い遂げ無ければならない。それは、他の英雄も同じ事。狂おしい程にやり直しを願い、叶わなかった願いを求め。………それでも最後の一線を引くのがサーヴァント。貴方はその最後を理解しようとしなかった｣

それは、カルナとアルジュナの決定的な違い。カルナはサーヴァントとして、アルジュナは英雄として戦場に立っていた。
それを、やっと理解したのか苦悶に満ちた声で、

｢わた…しは………｣

｢戦いますか？構いませんが｣

婦長の言葉で全員が臨戦態勢に入る。負傷した、サーヴァントを後ろに下がらせるよう指示を出し、ランサークラスのサーヴァント達に前に出るよう指示する。

｢そう、ですね。戦う必要などない、八つ当たりする気もない。ただ、決着を着けたい。この心のどうしようもない何かを払拭する為にも。断られるならば、仕方ないですが｣

｢いいよ、戦おう｣

｢先輩！｣

｢お、おい！マスター！アルジュナと戦うのか！？誰が！？…余たちだな！？うむ、当然だ！｣

と、1人ツッコミをするラーマと心配するマシュに頷きを返し、前衛に言った。

｢戦闘開始！｣

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