死界魔霧都市 ロンドン 裏話 ページ39
｢フハハハハ！！何なのだ！アレは！！｣
と、最古の英霊が笑い転げるのを見てカオスとしか言いようがないこの状況。
A助けて。先輩泣いちゃうぞ。
｢おい、そこな雑種｣
｢は、はい！何ですか？｣
｢アレの名前は何と言う？｣
｢夜野…Aです……｣
｢そうか。雑種、アレがいる所にはどうやって行けばいいか分かるか？｣
｢何をしようというのだね。英雄王｣
と、不機嫌そうな赤い弓兵が尋ねる。
｢ふん、知れたことよ。興が乗った。アレを助けてやろうと思ってな。あぁ、お前らはまだアレを"マスター"として認めていないのだったな｣
と、これまた不機嫌そうな王様が言う。
あっ、怖い。何か、不穏な空気だ。
｢せいぜい、そこで見てるがいい。
｢あっ、はい！こっちに来てください。後はドクターが何とかしますから｣
お前、とんでもないのに目を付けられたなと、ボロボロになってる後輩を思う。
英雄王をレイシフトさせた後、管制室に戻ると残った3人の英霊がこちらを見ていた。
｢あー…何ですか？｣
｢いつも、彼女はああなのか？｣
と、問い掛けられる。
｢まぁ、俺と同じくらい諦めが悪いし…どちらかと言うと頑固者だな。思った事は直ぐ言うね｣
｢いや、そうではない。質問の仕方が悪かったな、彼女はいつも無茶をするのか？｣
無茶…？あぁ、そう言えば初めて会ったときも無茶してたなぁ。寂しいくせに、泣きたいくせに、無理矢理笑顔を作って、唯ひたすら前を見てたな…。
｢そう、なのか…？｣
｢あ、まぁ、そうだよ。いっつも、俺みたいなストッパーがいないと何処までも無茶し続けるからね。俺の後輩は。そして、いつか爆発…ってあれ？｣
3人の内2人ほど消えていた。成程、レイシフトしに行ったのかと考える。
｢……そうまでして何が、彼女を突き動かすのだ？｣
｢あー…俺もチラッとしか聞いたことないんだけど、昔かなり病弱だったらしく、なかなか外で遊べなかったんだって｣
本と、真っ白な病室。窓から見える、空模様。それが、アイツの世界の全てだったらしい。
まぁ、逞しくなって…先輩嬉しいよ。
｢本で見た、知った、世界、花や動物。英雄。知識でしか無かった事が、今目の前にある。それは、とても嬉しい事だと思う｣
だから、諦めない。アイツは、まだ全部見てないから。
俺も諦めない。アイツに、あの星空を見せるため。
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作者名：キーリア | 作成日時：2016年10月2日 21時
