邪竜百年戦争 オルレアン １つ目の聖杯 ページ26
『あぁ！そうか！分かったぞ！』
｢何が？｣
『あの、黒いジャンヌ…アレは』
｢そう。私が聖杯に願ったのです。"我がジャンヌの復活"を｣
そんな事が出来るのか、あの聖杯は。
と、思った。
だって、どんな物語の魔人も魔法使いも願いを叶える注意事項の中に死人は生き返す事は出来ないと言っていたではないか。
｢ですが、我が願いは聖杯を持ってすら叶えられなかった。なら、もう一度、ジャンヌを！私のジャンヌを創造するのみ！ジャンヌをもう一度復活させる前に…貴女方を消させて頂きましょう｣
｢先輩！来ます！｣
｢これが最後だ！気合いれてやるぞ！｣
キャスターのジルはジャンヌを執拗に狙ってきた。
ソレをマシュが防ぐように前に出る。
｢ジーク！！宝具を！！｣
｢任せろ！マスター！ｰｰｰｰ邪悪なる竜は失墜し、世界は今洛陽に至る。撃ち落とす、ｰｰｰｰ
ソレは、神話の如き大剣。
昔、見た北欧神話のあの邪竜との対戦の再現。
ここに、あの邪竜は居ないが、そう言っても過言では無い程だった。
｢ぐあああぁぁぁぁぁぁ…………おのれ…聖杯を持ってしても………何故…｣
｢ジル。今更ですが、貴方が居たからあんな村娘の私が戦場に立てたのです。貴方が居たから、私は居る。それは変わりません。変わることの無い真実です。…例えその最期が炎の中であっても、私は後悔していません。ありがとう。ジル｣
｢なんと…なんと…勿体なきお言葉………あぁ…｣
と、消えていった。
『ｰｰｰｰ聖杯の回収を確認。時代の修正が始まる。帰還だ』
｢はい、ドクター｣
と、マシュが返事する。
ジャンヌに短く別れを告げマシュの近くに行く。
ジャンヌが光に包まれる。
｢マスター………ありがとうございます。また、縁があればお会いしましょう｣
最後に見えたのは、ジャンヌの幸せそうな微笑みだった。
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作者名：キーリア | 作成日時：2016年10月2日 21時
