主の違和感 ページ19
リムルside
おかしいな、今日の書類が驚くほど少ない。
昨日とか、一昨日とか、三倍近くはあったはずだ。
それはAも同じらしく、俺達は一旦顔を見合わせた。
それになにより……。
リムル「なあA、いつもは仕事、自分の部屋でやってるだろ? 今日はどうしたんだ?」
『えっとね、朱菜がちょっと忙しくて、私の部屋の方を昼に掃除するってから』
なるほど、それは珍しいな。
いつもと少し違うことに納得してすぐ、俺の部屋の扉がノックされた。
ハルナ「リムル様、A様、お昼をお持ちしました」
ああ、と返事してから、ここでも違和感に気がついた。
いつもより配膳が早いな……。
あ、でもこれ俺が好きな献立だ!
一瞬浮かんだ考えは、俺の好物に離散された。
執務室で食べるなんて、久しぶりだな。
Aも疑問に思っていたようだったが、食欲に逆らえずに食べ始めた。
そういえば、最近は忙しかったから、二人の時間もあまりとれてなかった。
大丈夫……本来はもっと書類で時間を取られてた時間が空いてるんだ。
よっぽどじゃないと断らない、はず──!
大丈夫だ、頑張れ俺!
………………。
…………。
……。
『ごちそうさま』
リムル「ご、ごちそうさま」
うわあぁぁぁ!!
時間切れだ、誘えなかった!!
そんな俺の内心を知ってか知らずか、救いの手が差し伸べられた。
朱「A様、リムル様。上げ膳させていただきます」
それは、ノックして入ってきた朱菜によるものである。
って、あれ?
リムル「朱菜、今日は忙しいって聞いてたんだけど……」
朱「ええ。これからリムル様のお部屋も同時に掃除させていただきますので──」
──是非お二人で、最近開店した魔物屋敷に行ってみてはいかがですか?
お化け屋敷ならぬ、魔物屋敷。
お化けより、魔物の方が
というAの発言から、とんとん拍子に俺とAで監修した施設である。
絶対に
けどさ、自分たちで監修したのもあるし、久々に二人きりでそのチョイスは、なぁ?
俺は浪漫を大切にする方なので、ちゃんとそう言うの気にしていたのだが……。
朱「きっとお楽しみになれると思いますよ」
『いいね! リムル、行ってみようよ』
怖いくらい逆らえないんだこれが。
もはや俺に、断る選択肢はなかった。
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作者名:くろわっ | 作成日時:2020年10月12日 19時