囚人と使用人 (ページ1)

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過去ノ御話ページ1

･

『……』

僕は名もない1人の男の子……

友達なんて…片手で数えられるぐらい……

だって……僕の能力は“破壊”……

ユウキブツもムキブツも

5本指で触れて、{破壊}と唱えると壊してしまう｡

ケッテンとしては…

･友人や親族は破壊できない。

･ユウキブツは1日3つまでしか破壊出来ない

…ぐらいかな………

能力が“破壊”だから…

…ミンナからサけられてる。

そして、僕とは違い

カレンな能力を持つ女の子…

…ミカエルちゃん。

僕はあの子を遠目から見てる。

すると……彼女と偶然目が合い、

彼女がこっちにトコトコと歩いて来た

『貴君、名はなんというのだ?』

『きくん？……僕のコトですか……?』

きくんって……難しいコトバですよね。確か｡

『それ以外に誰が居る……名は？』

『……ない…』

僕はおずおずと答える。

『ふむ……無いのか』

彼女は顎に手を当て、

フクロウみたいなイトメをそっと開けた。

その目はあのヒスイの様に

透き通っていてキレイで今にもすいこまれそうだ…

僕は思わず見惚れた。

『そうだな……貴君の目は蒼だから…

名が決まるまで、アオと呼んでいいか?』

僕は思わず目を見開いた。

『う、うん……イイよ』

『イイのか！改めて宜しくな“アオ”！』

彼女が出した手を僕はそっと取り優しく握った。

僕の心は、カイロみたいにポカポカしていた。

ギメイというのを彼女から貰えたのだ。

これは……きっと“嬉しい”の感情なんだね。