開演ブザーは永遠に（３） (ページ39)

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「……私たちからも、お願いします。……蜜柑ちゃんに、穴探しに協力してもらえないでしょうか」

　ペンギーを抱いた野乃子ちゃん、そして、アンナちゃんも一緒に頼み込んでくれる。

「私たちが協力できる力なんて、たかがしれているかもしれないけど、でも、蜜柑ちゃんの気持ち……前みたいに明るいみんなに戻ってほしいって気持ち、すごくわかるから」

　そう、“戻りたい”。だってほんの一週間前、委員長が里帰りをする前は普通だった。返ってきたテストの結果に一喜一憂して、友達のアリスがなくなってしまうとか、銃に撃たれてしまうなんて、誰も考えていなかった。
　普通に学園生活を送って、友達と笑ったり、遊んだり、喧嘩したり、そんな当たり前の日常をただ取り戻したい。だから、私からも、もう一度。

「先輩、お願い……手伝って」
「…………力貸してやるか」

　深いため息をついて、殿先輩は折れてくれた。わあ、と明るげな空気になるこちらとは裏腹に、翼先輩は「おっさん！？」と驚愕の声をあげる。

「しょーがねーだろ、俺らが協力しなくてもこいつら絶対自分たちだけでなにかしでかすだろうし」
「バレたらどーするつもりだよ！？もし途中こいつらになにかあったらどう責任――」
「あー、もー、うるせー……責任は俺らが取るさ。……だいたい、お前が一番よくわかってんだろー、こいつらの気持ち。前科持ちさんよー」

　翼先輩はグッと言葉を詰まらせる。思い当たる節は存分にあるのだろう。中等部にあがったばかりの頃、要先輩のことで大人に食ってかかったらしいから。私は全部終わった後にそれを知ったため、なにがおきたとか、なにをしたかとか、そういう詳しい事情はわからないが。
　言っとくけど協力しろよな、と勝手に翼先輩もメンバーに引き入れた殿先輩のもとへ、蜜柑ちゃんが駆け寄って抱きついた。

「殿先輩、ありがとう！」

　私も便乗して一緒に抱きつく。

「先輩、ありがとー！」

　感謝を込めてぐりぐり頭を押し当てる。と、頭をガシリと掴まれて、棗君に蜜柑ちゃんともども殿先輩から引き剥がされてしまった。首がパキッて鳴ったぞ……。