開演ブザーは永遠に（３） (ページ2)

今日:30 hit、昨日:0 hit、合計:16,525 hit

2 ページ2

中等部校舎までは片道十数分程度。学園の中央にある十字路で同じようにおめかしした高等部生とも合流して、そうして到着した中等部の校庭には、巨大な杯型のキャンプファイヤーやら出店やらが設置されていた。昨日、私たちが表彰されたステージでは、今はマジックショーをやっている。

「あっ、のだっち！翼先輩たちもおるー！」

　のだっちや翼先輩に美咲先輩、メガネ先輩とお決まりのメンバーを発見、蜜柑ちゃんらと一緒に駆け寄る。

「おー、チビーズ」
「みんなかわいーじゃん」

　礼装を着た翼先輩と、白薔薇の冠を被った美咲先輩が笑う。
　妖精をモチーフにした中等部のドレスは、天使がモチーフになっている初等部のものよりも大人っぽくて、美咲先輩の綺麗な顔立ちが引き立つ。背も高いし、スタイルもいいし、モデルさんみたいだ。

「馬子にも衣装だなー」
「もー、普通に褒めてよぉ……」

　翼先輩の手が頭に置かれる。いつもならぐしゃぐしゃにされるところを、今日は勘弁してくれるようで何度か髪をすくようにしてから手が離された。というか翼先輩、せっかくの礼装なのに、ボタンは二つくらい開いてるし、ネクタイもゆるゆるだし、ポケットに手を突っ込むせいでシャツはぐしゃぐしゃになっている。礼装の意味を理解しているんだろうか。
　翼先輩ほどには服を着崩してないメガネ先輩が、ニコニコ、ニコニコ上機嫌に笑っている。

「Aちゃんもかわいーなー、ホントに天使みたいだなー！あとで俺とダンス踊ってくれー！」
「うんっ、踊ろーね」

　アラビアの衣装の時もそうだったように、こういう服を着た時、メガネ先輩は過剰なくらいに褒めてくれる。そこに妙な熱を感じるのは気のせいだろうか。

「……ラストダンス、メガネに誘われても断っとけよ」
「え、どうして？」
「下手に言質取られたらやっかいだかんなー」
「……？」

　翼先輩の妙な忠告に首を傾げる。「お、俺がそんな悪どい真似するわけないだろ……！？」と慌てるメガネ先輩。よ、よくわからん……。