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「……当時の記憶だけが埋め込まれた」
「ああ、それに近い。埋め込まれた記憶は彼女自身のものと中途半端に融合しているようだった。……アリス紛失事件の時、彼女はお前の足を気にしていただろう。あれは昔、ペルソナに掴まれたことを指していたんじゃないのか」
「……その時点ですでに記憶は埋め込まれていたのか？ ……だが、誰がなんのために。そもそも、その記憶は誰のものなんだ」
会話の内容に、じわりと嫌な汗が滲む。
私の持っている記憶が。先生たちとの大切な思い出が。――または、この身体こそが、他人のものだと言われている。記憶と身体、決してわかれないはずのそれが、無理やり切り離された錯覚に陥る。
到底あり得ない仮説だ。だって、さっき見た鏡にはたしかに自分自身の姿が映っていた。私の顔も、身体も、声も、全部がここにある。
「わからない。ただ……記憶の主には僕らも懐いていたらしい。“いつもみたいにAお姉ちゃんと呼んで”……彼女はそう言っていた」
「……僕らが姉と呼んで慕っていたのは柚香さんだけだろう」
「そのはずなんだが……」
知った名前が出て、肩が跳ねる。
柚香先輩のことは、覚えているんだ。じゃあ、なんで私は忘れられちゃったんだろう。あと数年で卒業しちゃう柚香先輩よりも、私のほうが長く一緒にいるはずなのに。せめて、この二人が私を覚えてくれていたら、感じている不安も紛れるのに。
「…………いずれにせよ、しばらく様子を見たほうがいいな。あの状態では病院に連れていくのも難しいだろう。……校長に報告は？」
「まだだ。あとで僕からしておく。……それと、先生が亡くなったことは彼女には伝えていない。学園から去ったと教えたから、今井もそうしてくれ」
“先生が亡くなった”
え、という声は、喉にこびりついて音にならなかった。
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きざし(プロフ) - ユイさん» 温かいお言葉ありがとうございます！再熱していただき嬉しい限りです…！これからもゆったりと更新をしていきますので、どうぞのんびりお付き合いいただければと思います。改めてコメントありがとうございました！ (2020年6月29日 19時) (
レス) id: d2df0bfcc2 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - いつも更新お疲れ様です。この作品を読んで学アリ熱が再熱するくらいに楽しんで読ませてもらっています… 夢主ちゃんの存在、先生たちの関係が気になって気になって仕方ありません！大変だとは思いますが更新楽しみにしております。長文失礼しました。 (2020年6月29日 3時) (レス) id: f59a3694e1 (このIDを非表示/違反報告)
きざし(プロフ) - ユイカさん» コメントありがとうございます！これからもどんどん更新頑張りますので、どうぞゆるりとお待ちくださいませ〜！ (2020年6月15日 19時) (レス) id: d2df0bfcc2 (このIDを非表示/違反報告)
ユイカ(プロフ) - 初めて読んでみたんですけどとても面白くて気に入りました！更新楽しみにしてるので頑張ってください！ (2020年6月14日 20時) (レス) id: b470749ec2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きざし | 作成日時：2020年5月27日 22時
