開演ブザーは永遠に（１） (ページ30)

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閑話-1 ページ30

「――で、四年生になったらＢ組にあがってくるんだ」

　初等部Ｂ組の教室。昼休みに始まった委員長の学園講座。パートナーの棗君がなに一つとして蜜柑ちゃんに学園の案内や説明しないから、必然的に委員長や私、蛍ちゃんが説明することになる。といっても蛍ちゃんの説明は結構投げやりなものが多くて、生き字引みたいな委員長が頼られることがほとんどだ。
　そして今は「なんで初等部ってＡ組とＢ組しかないんー？」という蜜柑ちゃんの素朴な疑問に答え、初等部のクラス分けについて説明している。
　一般的な学校であれば、クラスは学年ごとに分けられ、そこから人数に応じてさらに組分けがされる。ただ、アリス学園は元々の生徒数が少ないからそんなに分けられない。よって、初等部はいくつかの学年が併合した複式学級が採用されているのだ。小学四年生未満はＡ組に、四年生以上はＢ組に。一つのクラスにいろんな学年が混ざってると誰が何年生なのかわからなくなりそう、と入ってきたばかりの子は言うが、学年別で授業を受けることもあるし、なにより一学年につき生徒数は十人前後と元々の人数が少ないので、意外とごっちゃにならない。

「だから、音無さんたちが僕らの一つ上で六年生、野乃子ちゃんにアンナちゃん、心読み君たちは一つ下の四年生になるんだよ」
「なるほどー……あ、ならAは四年生なん？」

　ふんふん頷いた蜜柑ちゃんが振り返り、私を見る。

「……五年生だもん」
「あ……ご、ごめん……」

　悪意ゼロの蜜柑ちゃんに怒りは湧かなかったものの、隠れてクスクスしてる心読み君にはイラッとした。

「怒んないでよー。Aちゃんが年下にも負けちゃうくらいのチビなのは事実なんだから」

　こやつ、煽りよる。
　無表情な笑顔という矛盾した顔で言いながら、私より少しばかり背の高い心読み君は、ちょっと背伸びをしてまで自分の方が背が高いと主張するように肩に肘を乗せてくる。