開演ブザーは永遠に（１） (ページ18)

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さっきとは別の意味で教室がざわつきはじめたのと同時に、パンッと鳴海先生が手を鳴らし、みんなの注目を集める。「はーい、みんな揃ったところでお話がありまーす」その顔が浮かべているのは、にこやかすぎる笑顔。ああいう図太さがないとここの教員なんてやっていけないんだろうな……。副担先生と鳴海先生を見てると、強く思う。

「さて、蜜柑ちゃんについてですが、彼女はこの学園に入ったばかりで右も左もわかりません」

　つまり、今からパートナーを選ぶと。
　蜜柑ちゃんのパートナーか。しばらくはつきっきりにならないといけないから、気の合いそうな人同士でないとやっていくのは難しい。委員長か、まだ学園にきて半年程度だけど、蛍ちゃんあたりが適任じゃないかな。
　ただ、入学したばかりのなにもわからない子に一からすべて説明するのはなかなかに大変でして。期待いっぱいの蜜柑ちゃんの眼差しを蛍ちゃんは華麗に躱す。
　そんな様子を見ながら、鳴海先生は「パートナーはこっちで勝手に決めたので発表しまーす♡」と笑う。パートナーを選ぶって言ったのに指名制だった。

「蜜柑ちゃんのパートナーは――日向棗君です♡」

　え。ええぇ、クラスみんなで大合唱する。蜜柑ちゃんも参加しているし、私も参加した。
　日向棗君って、あの日向棗君？蜜柑ちゃんをつるしあげて、北の森へ行かせて、私たちを火でぐるっと囲い込んだ棗君？
　まさかあれを気になる子にちょっかいを出しちゃう小学生男子の行動と一緒くたにしちゃったのか。蜜柑ちゃんを筆頭にあがる抗議の声を、鳴海先生は軽やかにスルーする。本人からの抗議はスルーしちゃダメでしょ……。
「じゃあ、僕は用事あるから」と、いつも以上に考えの読めない顔で、鳴海先生は退室する。この状態で退室できるのもすごい。取り残された副担先生のお豆腐メンタルがぼろぼろに崩れていくのが手に取るようにわかる。そのうち胃潰瘍で倒れちゃうんじゃないかな。

星階級　前-1→←パートナー-1