開演ブザーは永遠に（１） (ページ2)

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――僕は××にも××ない。この××から出られ××。きっと、×が××まで。

　少年が膝を抱えて涙を流す。近くには一人の少女が立っている。
　こんなことを言ってもどうにもならないと理解していたが、どこかで吐き出さなければ心が壊れてしまいそうだった。

　何度もしゃくりあげて、途切れ途切れの言葉を紡ぐ。なにもかもを諦めた。――諦めたと思い込んでいた。自分の弱さを突きつけられ、それを他人に見られていることがたまらなく惨めだった。

　少女は大人でも呼びにいくかと思いきや、地面に膝をついて少年を抱きしめた。少年の肩に手が回って、少女の体温が伝わる。

　――だったら、×が×っと××に×るよ。どこにも××ない。……ほら、

　ぬくもりが離れる。少女が差し出した小指に、少年は縋るように自分の小指を絡ませていた。

「約束」

　少年を真っ向から見つめて少女が笑う。いつの間にか少年の涙は止まっていた。

　到底叶うことのない約束だった。子供同士の他愛もない約束だった。
　それでも約束を交わしてくれた少女の優しさが嬉しくて、少年はこの場所に閉じ込められて以来、初めて心の底からの笑みをこぼした。