Fleur simple

Episode20 ページ21

今日出かけることを楽しみにしていたのに、

なんで嫌なことまで思い出してしまうのだろう…


いつまで経っても慣れない生活が、

わたしをますます孤独にしていく…


そんなことを考えていると、

遠くから、尊人と竜らしき人影が見えた。




尊「あ、おーい！！！！」

竜「ちょ、兄貴！声でけーよ！」




まだけっこうなきょりがあるのに、

尊人は私を見つけると、大きく手を振った。


周りの人も驚いて、チラチラと見られている。




「尊人！！竜！！！」




私は尊人に負けたいくらいの大きさで

ふたりの名前を呼んだ。


ふたりは一瞬驚いた顔をしたけど、

すぐに笑って、走ってきてくれる。


いつも良い子でいなくちゃ、ちゃんとしなきゃ、

って周りの目を気にしながら生活してきたけど、

ふたりと一緒に居ると、

周りのことなんて気にならなくて、

ありのままの自分でいられる。



日本に来てまだ全然時間は経っていないけど、

学園のみんなは、私を私として見てくれる。


私にとってそれは、本当に幸せなこと。




尊「わりーな！ちょっと遅れた！！」


竜「兄貴が二度寝するから…わり、待たせて」


「気にしないで！全然待ってないから！




ふたりに会っただけなのに、

さっきまでの暗い気持ちが一瞬で晴れる。


面白い話をしたわけでも、

何かあったわけでもない。


なのに、自然と笑顔になってしまう。

そんな私を見て、竜も優しく笑った。



竜「なにニヤニヤしてんだよ、」


「楽しくてしょうがないの！」


尊「まだどこにも行ってねーよ？」


「でも、もう楽しい！」


竜「子供かよ、」


「竜より年上でーす！」


尊「はいはい、わかったわかった！

じゃ、パンケーキ食いに行こうぜ！」



3人で冗談を言い合いながら、

お店に向かった。

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