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「次は善逸くんだね、お手合わせお願いします」
「絶対にAちゃんを捕まえるぞ......」
「ずごいやる気だね、じゃあ始めます」
鬼ごっこが始まったというのに善逸くんは直立不動のまま俯いている。
どうしたのだろうか。善逸くんの様子が気になって、一歩前に踏み出す。
一歩踏み出したことにより、善逸くんからシイイイと呼吸音が聞こえた。
なんだか嫌な予感がする。
二歩下がり、善逸くんの様子を見る。
次の瞬間。
私の視界から善逸くんの姿が消えた。
何が起こったの......?
辺りをぐるりと見渡すけども、善逸くんはいない。
ふと、善逸くんの気配がした。
気配のする方へ振り向くと、彼がそこにいた。
「Aちゃん、つーかーまえーたーってあれ? いない!?」
咄嗟に横に移動し、避ける。
危なかった。間一髪だ。少しでも遅れたら捕まっていた。
なんだ今のは。並々ならぬ速さだった。
そういえば、確か善逸くんは雷の呼吸の使い手だと本人が言っていたことを思い出した。
納得した。だからあんなに速いのか。
「Aちゃん待ってよー」なんて呑気に言いながら恐ろしい速度で追ってくるのだからたまったもんじゃない。
私は必死になって善逸くんから逃げ続けた。
「はぁぁぁーー! 疲れた! 降参するよ!」
「お手合わせありがとうございました。お疲れ様、善逸くん」
「Aちゃんって足が速いねぇ、俺全然つかまえられなかったよ」
「私より善逸くんの方が足が速いと思うんだけど......」
「いや! 俺なんて全然速くないからね! ホント! 疲れたからまんじゅう食べたくなったよ......Aちゃんの分も持ってくるから一緒に食べようね」
と言い残し善逸くんは去っていった。
善逸くんと鬼ごっこしてみて分かったけど、彼はすごく強い剣士だ。
なのに善逸くんは自分を卑下し、強くないと言い張っている。
うーん、なんとか善逸くんには自信をつけてもらいたいなぁ......
そんなことを考えていると、次は炭治郎くんがやってきた。
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作者名:名無し丸 | 作成日時:2021年10月12日 19時