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目が覚め、瞼を開く。
見知らぬ天井が視界いっぱいに広がる。ここは一体どこなのだろうか。
起き上がろうとしたが身体が全く動かない。
自分の身体を見ると包帯がぐるぐるに巻かれている。
「_______んが__で_」
「_____で_____い」
どこからか賑やかな音が聞こえる。
ということは人がいるのだろう。私はその人に声をかけようとしたが、掠れた音しか出てこなかった。
「あ! 今、Aちゃんの声が聞こえた!」
「また、そんなことを言って......隙を見て入ろうとしないでください」
「ぜ......つ......ん」
彼の声が聞こえた気がする。
善逸くん本人かどうか分からないというのに彼の名前を読んでしまった。声が掠れてろくに声が出ないくせに。
「Aちゃんが俺のことを呼んだ。行かないと」
「あっ! 善逸さん!」
パタパタと軽い足音が聞こえたかと思えば視界に黄色いものが入り込んだ。
「......? ぜ.......ん?」
「そうだよ! 俺だよ!」
「ほ......に?」
「本当だよ」
視界がぼやけて見えないが、声を聞いて善逸くんだと分かった。
「善逸さん! 急に入らないでください、Aさんはまだ目覚めていないのですから」
「Aちゃんなら起きたよ。ほら」
「本当だ......しのぶ様を呼んできます」
二つ結びの女の子がこちらを覗き込んだかと思えば、すぐさまどこかへ走り去ってしまった。
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作者名:名無し丸 | 作成日時:2021年10月12日 19時