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「......! な、なにこれ、足が痺れ」
私の足が痺れて、うごかない。
「ギァーーーハッハッハ!!!」
牙の鬼が大きな声で笑う。とても不愉快だ。
「なに、しやがった」
「おれの牙は毒があるんだ。一度でも噛まれたら、もう二度とその足は使いモンにならねぇぞ!」
「だからなに、鬼共を狩るためだったら足の一本でもくれてやるよ」
「......アンタ、頭イカれてんな。まぁいいや兄さん、さっさとコイツを殺して食べようよ
「あぁ、そうだな弟よ」
鬼共がゆっくりとこちらに近づく。
まだ。その時ではい。
「ねぇ、兄さんはどこ食べる? 俺は右足がいい!」
「俺は左腕がいいな」
まだ。もう少しの辛抱だ。
「そうだと思ったよ、俺たち双子だからかな? 兄さんの食べたいところ分かったよ」
「俺もお前の食べたいところが分かったぞ」
まだ。待て。
「あれ? コイツ全然うごかねぇや、死んだ?」
「ならば好都合だ。殺す手間が省けた」
あと、もう少し。
「じゃあいっただきまーす」
「いただくとしようか」
今だ。
私は右手に持っていた日輪刀を牙の鬼に突き刺し、隠し持っていた短刀の日輪刀を左手で爪の鬼の首を切り落とした。
「に、兄さん!」
「______お、おと、うとよ」
爪の鬼の首が落ち、消えていく。
「......」
牙の鬼が泣き叫びながら、爪の鬼を呼んでいる光景を霞みつつある目でぼんやりと見ていた。
「くそっ......兄さんの仇を......」
爪の鬼の消滅を見届けた牙の鬼が、日輪刀で突き刺さっている体をみっともなく動かしながらこちらを睨んでいる。
やめてよ、なんだか私が悪者みたいじゃない。
まるで、仲良くしていた双子の兄弟を突然殺したきた鬼、みたい。
でも、鬼は貴方達で、たくさん殺して、食べたんでしょ?
当然許される行為では無いよね?
「大丈夫だよ、すぐに貴方もお兄さんのところへ送るから」
私は左手に持ってる短刀の日輪刀を牙の鬼目掛け振るう。
ストンと首が落ちた。
牙の鬼が塵となって消滅した。
私は二つの日輪刀を鞘に収め、地面に倒れ込んだ。
身体中の感覚がなくなっていくのをかんじる。
ここでしぬのかぁ......
私にはやらなくてはいけないことがやまのようにあるのに。
まぶたが鉛のようにおもく、なっていく
うすれる視界のなかで、あの鬼殺隊員がこちらにかけよる姿がみえたようなきがした。
わたしはそのおもさにたえられず、まぶたをとじて、しまった。
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作者名:名無し丸 | 作成日時:2021年10月12日 19時