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山の中に入った途端、鬼の気配がより一層強くなった。
辺りを警戒しながら、東へ向かおうとした。
突如、ガサガサと草木を分ける音が聞こえ、身を潜める。
その音が聞こえた方へ目を向けるとと鬼がのそのそと歩いているではないか。
どうやら鬼は私の存在に気付いていないようだ。
先手必勝。殺される前にやらなくては。
影の呼吸 壱ノ型 含沙射影
鬼の首が飛ぶ、鬼は呆けた顔をしてこちらを見ている。
自分の首が飛んだことを理解していないようだ。
鬼の首がぼとりと地面に落ちた。
鬼はようやく、自分の首が切られたことに気づいたようだ。
「......っ、よくも首を切りやがったなぁ!!!このガキが!!!」
私への罵詈雑言が止めどなく流れる。
血で汚れてしまった刀をそっと拭き取り、鬼に背を向ける。
罵詈雑言がだんだんと小さくなる。
ちらりと後ろ見るとそこには、鬼はもういなかった。
鬼の消滅を確認し、私は東の方へ進む。
何処からか鬼が出てきて、その度に首を切る。
もう、何体倒したか覚えていない。
疲労が蓄積しており、流石にこれ以上行動をするのは危険だ。
隠れそうな場所を見つけることができた。そこで一休みすることにする。
この試練は想像以上に辛く、厳しい。
気が滅入ってしまう。思わず大きな溜息を吐いてしまった。
......でもよくよく考えてみると、この十年程毎日のように父から受けてきた地獄の鍛錬よりかは、こっちの方がまだ、ましかな......
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作者名:名無し丸 | 作成日時:2021年10月12日 19時